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この方法で次々と不動産を増やした人が多く、ソウルでは、賃貸のうちチョンセが約6割を占めるとも言われているのだ。

「チョンセ」でアパート3戸購入の男性 物件価格暴落で先行き見えず

運用がうまくいけば、いいことずくめにも思える「チョンセ」。

 

しかし韓国では今、返済に困る大家が急増している。この制度、不動産価格が上昇している時はうまくいくが、大きく下がれば、大家は保証金以上の負債を抱えることになるからだ。

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35歳男性・ファンさん(仮名)は、1年足らずの間に、自宅とは別にアパート3戸を購入。費用は約6350万円で、いずれも「チョンセ」の保証金を元手に物件を増やした。

 

しかし金利の引き上げに伴い、ローンの返済額が急増。月々の返済は約35万円で、収入の8割ほどを返済に充てている。今は副業のアルバイトに追われ、毎日4時間ほどしか寝られていないという。

 

ファンさんが購入した住宅の1つは3700万円だったが、そのうち3000万円は、借主から預かった「チョンセ」の保証金だ。契約の満了に伴い全額を返金しなければいけないのに、物件価格は今2950万円まで下がり、保証金にも足りていない。新たな借主も、転売先も見つからず、まさに先が見えないまま金利を払い続けている状況だ。

 

このような例は少なくなく、中には保証金を借主に返せなくなる大家も多く、社会問題化している。

 

韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は18日、今後の不動産市場について「(価格の)下落により、市場に困難な状況を招く可能性が高い」と発言していて、このままいくと韓国経済全体を脅かしかねない状況だ。

状況違えど…今後の日本の参考に?

榎並大二郎 キャスター:
日本は韓国とは状況が違いますが、仮に日本で金利が上がった場合、韓国と似たような状況になる恐れはありますか?

FNN 一之瀬登 ソウル支局長:
日本では不動産バブルが起きているわけではないので、仮に利上げがあったとしても、すぐに韓国のような状況になることはないとみられます。
ただ金利の上昇幅によっては、不動産市場が冷え込むこともあり得るので、韓国の動向は今後の日本の参考になるかもしれません。

 

教育学者・齋藤孝 明治大学教授:
チョンセの制度がそもそもバブルを起こしやすいんじゃないか。又借りの又借りで、成立してしまう。自分が住むためじゃなくて、投資でどんどん膨らめていく。これではやはり、バブルははじけますよね。欲をかいて、適正価格より高く借り入れてしまうと大変なことになる。

榎並大二郎 キャスター:
リターンもあるかもしれませんが、それだけリスクもあるということですね。韓国の例、注意深くみておく必要がありそうです。

(「イット!」1月20日放送より)