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弁護士は「持病が急に悪化した可能性」を主張

 しかし公判で3被告の弁護人らは、そのような暴行はなく、事件によって加藤さんに過度のストレスがかかり持病である慢性心不全が急に悪化したことによる可能性があると主張した。別の専門家も「弁護側の主張する可能性を捨てきれない」と証言している。足のむくみや体重の増加、大動脈弁狭窄症といった加藤さんの死亡時の状態により心不全の可能性を示唆したのだ。

 法廷で主要な争点となった加藤さんの死因。

 検察側は足のむくみや体重の増加は、心不全ではなく治療薬の影響など別の原因がある可能性も立証したが、結局、裁判所は弁護側の主張を採用。判決で守下裁判長は「被害者が窒息死した可能性はあるものの、慢性心不全が急性増悪して(※急に症状が悪くなって)死亡した可能性を排斥するのは困難」とした上で、「『疑わしきは被告人の利益に』の原則に従い被害者は被告人らの行為による慢性心不全の急性増悪によって死亡したと認定した」と懲役28年という有期刑とした。

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小松園被告(本人のFacebookより)

 須江被告はその判決を聞き、閉廷するやいなや、冒頭のように「よっしゃー!」と声を上げたのだ。

さらなる罪の軽減を目指しているのか?

 判決後、検察と3被告はいずれも判決を不服として東京高裁に控訴している。しかし、なぜ須江被告は法廷で声をあげるほど喜んだにも拘わらず、控訴したのだろうか。

 前出の大手紙社会部記者はこう解説する。

「自分に有利な一審判決で自信を持ち、さらなる罪の軽減を目指しているとも考えられます。ただ、今回の判決は検察の主張を完全に否定したわけではなく、『心不全の可能性も捨てきれない』という消極的な判断だったため、控訴審で無期懲役にひっくり返る可能性もあるでしょう。首を圧迫して死亡させたことが認定されれば、悪質さが際立ち、ほかの罪も相まって無期懲役も十分にありえると思います」

須江被告(本人のFacebookより)

 基本的に罪を認めて反省している様子だったという須江被告。しかし、ついあげてしまった歓喜の雄たけびが、今後、情状面で不利に働くことはないのだろうか。