新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、生活コストが高く、人口の密集する東京から地方への移住を検討する人が増加し、地方暮らしの魅力は広められた。しかし、最新の調査によると、一転して東京への流入人口が改めて増加していることがわかっている。果たして、都会と地方、どちらの生活が人々にとって魅力的なのだろうか。
経済アナリストの森永卓郎氏はトカイナカ(都会と田舎の中間地)での暮らしをかねて推奨しているが、はたしてその根拠とは。ここでは、同氏の新著『増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学』(角川新書)の一部を抜粋し、生活拠点の“賢い選択”について紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)
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定年してからでは遅すぎる
リタイアしたら自給自足の生活をしてみたいと考えている人もいるだろうが、私のお勧めは現役時代から移住することだ。リモートワークが普及した今、仕事とトカイナカ暮らしの両立は可能だろう。
地方で暮らすことを推奨する企業も増えている。
たとえばNTTグループは全国どこに住んでも構わないし、ヤフーも同じだ。ここまで先進的な企業は限られているが、産業の中心は今後、そうした企業に移っていくはずだ。だから、多くの人にトカイナカ暮らしのチャンスがやってくると思う。
反対に都会でタワマンを買うパワーカップルは、大きなリスクを抱えることになるだろう。目いっぱい住宅ローンを借りて、1億円を超えるような物件を購入しているが、今後金利が上昇したり、タワマンの価格が暴落したりしたら、即座に生活破綻だ。
だからこそ発想の転換が必要で、ハナから住民税非課税を目指して豊かな暮らしをするのが、一番賢い選択と言える。一番よくない選択は、都心暮らしにこだわってやりたくない仕事をどんどんやって、疲労困憊した上に稼いだ金からごっそり税金と社会保険料を持っていかれることだ。
別荘を欲しがる人を待っている落とし穴
なかには、リゾートに別荘を買って都会と行き来しながら2拠点暮らしを夢見る人もいるだろう。しかし、別荘には罠が潜んでいる。
誰もが知る別荘地の1つが軽井沢だ。芸能人や経営者には軽井沢に別荘を持っている人が少なくない。高原だから夏は過ごしやすく、ゴルフ場もある。冬は冬でスキーやスノーボードを楽しむこともできる。