少子高齢化、円安、物価の高騰など、さまざまな要因により、税負担が増え続ける未来が予想されている。これからの私達の暮らしは、いったいどのように変化していくのか。

 ここでは、経済アナリストの森永卓郎氏の新著『増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学』(角川新書)の一部を抜粋。社会保障財源としての消費税の是非について紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

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消費増税は時間の問題

 すでに消費税の増税(消費税率のアップ)は、俎上に載せられている。これは過去の税収の動きから見て確かなことだ。消費増税で増えた税収のかなりの部分は、法人税の減税に回っている。これは単純に法人税と消費税の推移をみれば明らかだ。

 

 この点について、2022年6月19日のNHK『日曜討論』で自民党の高市早苗政調会長(当時)が「消費税は法律で社会保障に使途が限定されている」と否定したが、お金に色はついていない。社会保障費は、最大の歳出項目だから、消費税が充てられていると強弁しても、表面上は矛盾しないのだ。

 ただ、「金持ちと大企業の減税」と「庶民と中小企業の増税」は常にセットで実施されてきた。それが小泉純一郎政権以来ずっと続いてきている。

 それをやめれば庶民の負担増はなくなるのだが、増税派議員はいつも「消費税は全額社会保障の財源になっている」と言う。

 これも2022年6月26日のNHK『日曜討論』での発言だが、自民党の茂木敏充幹事長は「消費税は年金、介護、医療、そして子育て支援、社会保障の大切な財源。これを野党のみなさんがおっしゃるように、下げるとなりますと、年金財源3割カットしなければいけません」と言って脅した。

 2022年7月に行われた参議院選挙では、れいわ新選組の山本太郎代表が消費税の廃止を打ち出していた。しかし、党首討論などでそれを訴えると、他の党の党首は鼻で笑うような反応を見せて、山本代表が間違っているような雰囲気を醸し出していた。