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見過ごされがちな“とてつもない不平等”…消費税を社会保障財源にしてはいけない“納得の理由”

『増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学』より #1

2023/02/10

genre : ライフ, 社会

note

 すると、車に課されている消費税は、仕入れ控除の形で申告の際に戻ってくる。それは車の保険料、ガソリン代、車検代も同じだ。ありとあらゆる付帯経費も全部会社で経費に計上しているから、1円も消費税はかかっていない。

 テレビ朝日系列の『朝まで生テレビ!』で一度、大喧嘩したことがある。私が「ゴルフだってみんな会社の経費で行っている」「ゴルフ場には黒塗りの社用車がいっぱい止まっているぞ」と言ったら、「ふざけるな。そんな奴がいるわけがない」と反論された。ただ、私はこの目で何度も目撃している。

身の回りの費用はすべて会社の経費で支出

 それだけではない。都心の外資系ホテルも同じだ。普通の人がお金を支払ってホテルに泊まっていると思うかもしれないが、実は、数割は法人に貸し出しされている。借りている企業は、ホテルの部屋を執務室代わり、会社以外の仕事場として使っているのだ。

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 そこでは、食べ物や飲み物をケータリングしたり、衣類をクリーニングに出したりして、身の回りの費用はすべて会社の経費で支出している。この場合も、消費税は1円もかからない。

 同じように銀座のクラブも会社の経費、スポーツジムも会社の経費……。自分で財布を開くことなどほとんどない。これが富裕層は消費税など1円も支払っていないという理由だ。

 社会保障をみんなで支えようと言っているにもかかわらず、一番お金を持っている人が1円も負担しない仕組みが消費税を社会保障財源にすることだと私は理解している。

インボイス制度の導入は財務省の執念

 インボイス制度の導入も財務省の執念だ。インボイスは消費税の徴収漏れを防ぐための制度だが、そもそも日本ではほとんど徴収漏れはない。それでも財務省がこだわるのは、脱税を防ぐことが目的ではないからだろう。私には免税業者いじめとしか考えられない。

 消費税を導入した当時は、「零細企業はかわいそうだ、守ってあげよう」との気運があった。だからこそ、免税業者の制度を作った。今は「この際、零細企業は整理したほうがいいんじゃないか」との空気になっている。