新幹線に乗れば、東京駅から1時間ちょっとで着く近さもメリットであるし、何より「軽井沢」という地名はブランド価値も高い。
あるとき、有名芸能人が軽井沢に建てたおしゃれな別荘がテレビで特集されていた。その後にご本人と番組でご一緒したときに「あの別荘はその後、どうなりましたか?」と訊ねたことがある。
すると「実は、あのロケのあと一度も行ってないの」と言っていた。別荘を買った人が使う平均回数は、生涯を通じて8回しかないという調査結果を見たことがある。
地方に別荘を建てたとしても、結局は年に1回、行くかどうかというオチになりそうだ。
別荘より高級ホテルを利用したほうがコスパは高い
そういう私もかつて別荘を買おうと思ったことがある。
私は2019年まで群馬県の昭和村に畑を借りて体験農業をしていた。その近くにはバブル期に日立金属が造った別荘の分譲地がある。200坪と広さも十分な別荘地が300万円で売りに出されていたので、妻に「買いたいんだけど」と言ったら猛反対された。
いつも妻は、冷静かつ客観的に物事を俯瞰している。そのときも、別荘など買っても1年に1回、行くかどうかだろう。リフォーム代や固定資産税、水道光熱費の支払いを考えれば割に合わない。それなら、行きたいときに高級ホテルを利用したほうがコスパは高い、そう見抜いていたのだろう。
越後湯沢の格安リゾートマンションを買った知人の顚末
バブル期に建てられた越後湯沢のリゾートマンションはタダ同然で売られていたりする。私の知人もその安さにひかれてタワマンを買った。分譲時には4000万円以上したタワマンの一室を150万円で買い取ったのだ。
「さすがにこれ以上値崩れすることはない」と考えたようだが、その後、数年で50万円まで値下がりしたという。
その理由は維持費がかかりすぎることだ。物件自体はタダ同然にもかかわらず、管理費は毎月数万円がかかったりする。越後湯沢にスキーをしに行くのは年に数えるほどだろう。しかし、タワマンを持っているだけで管理費と固定資産税を垂れ流さなければならないのだ。
別荘の夢を見るくらいであれば、トカイナカ暮らしを真剣に考えたほうがよほど人生を豊かにしてくれるのは間違いない。