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「親には絶対に言わないで」

 レイ君は毎日のように夜中の2時、3時までお母さんが横について勉強させられていました。中学まで成績は学年1位でしたが、高校生になって勉強が遅れるようになりました。塾通いが始まり、勉強を軸にした高校生活は彼にとっていっそうストレスフルになりました。それでも、お母さんに表立って反抗することができません。

 手作り弁当を捨てることは、彼にとって唯一のお母さんへの反抗だったのです。

レイ君は、どんどん病んでいった。写真はイメージです ©getty

 お母さんはまったく気づかなかったのですが、レイ君はどんどん病んでいきます。校内で真っ青な顔で倒れるなどし、いつしか保健室登校になりました。それなのに、レイ君は担任に「親には絶対に言わないで」と頼み込みました。

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 これ以上心配され、干渉されることが嫌だったからです。よって、大学も有名私大への指定校推薦をとりました。試験を受けるどころではないと自分で判断したからです。そして、体調がそこまで崩れていることをお母さんにまったく気づかれないまま、彼は卒業することができました。

「うちの親、キツいんだ」

 彼のような子どもたちと面談すると「うちの親、キツいんだ」という表現をします。強く厳しい口調で話すとかではなく「存在が重い」。干渉が強すぎるらしいです。

高学歴親という病』(講談社)

「あなたのためにママは頑張っているのだから、あなたも頑張って」というエールは、子どもからすれば「ファイトの押し付け」。親が「良かれと思って」やってしまうことは「善意の押し付け」かもしれません。

「頼んだ覚えはないよ」と言いたいけれど反抗すると面倒だから黙ります。言いたいことを自由に言えないいびつな関係性は、子どもにとってストレスです。親が頑張れば頑張るほど、子どもは弱っていくのです。

 多くの親子を見てきた私の実感としては、食事は作るけれど出来合いのものも使う、でも食べることを心から楽しんでいる親たちの子どもは摂食障害とは無縁のようです。