完璧すぎる母親のもとで育った、小学4年生の女児はなぜ痩せ細ってしまったのか……。その理由を尋ねた医師に、女児が放った「衝撃の一言」とは?
子育ての第一人者・成田奈緒子医師の新刊『高学歴親という病』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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わが子の引きこもりや家庭内暴力が続いた末に、高学歴親の方々が途方に暮れて相談に来られます。なかには「自分の子育ては子どもに良くないかもしれない」と薄々感じながら、考えを変えられなかった人も少なくありません。
考えを変えられなかった理由は何なのか。まずは、高学歴親が心配ばかりして子どもを信頼できない理由のひとつである「完璧主義」について考えてみましょう。
「完璧すぎる母親」のもとに生まれた小4女児の悲劇
「信用できる食材以外、絶対に食べさせません」
そう話したのは、大企業に勤務しながら小学生の女児を育てていたルミさんです。安心安全で生産者の顔がわかる有機野菜や肉、魚類といったブランド食材を定期的にお取り寄せ。週末に1週間分すべて下ごしらえして冷凍します。これらの食材で自分が調理したもの以外食べさせません。離乳食からずっと同じブランド食材を使っていました。
女児は学校の成績も抜群で、スポーツや楽器などどんな習い事をさせても優秀でした。ルミさんが「自分にとって理想の子どもが生まれたと感じた」と言うくらい自慢の娘でした。小学3年生から、お父さんの趣味でもあったトライアスロンを始めていました。参加した大会の子どもの部で表彰台に上がるほど才能をみせました。
トライアスロンは、体重が軽いほうが良いスポーツだそうです。ここで、ルミさんの食へのこだわりと完璧主義にさらに拍車がかかりました。食べる量を減らしながら筋肉量を増やすため、より厳選した食材で調理するようになりました。高学歴で高収入だからこそできることです。