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 彼女の完璧主義に引っ張られるように、女児はストイックに食事制限をしました。加えて、朝からランニングするなどトレーニングも頑張ったと言います。まだ体が成長しきっていない小学生には、かなりハードでした。

 すると、徐々に食べられなくなりました。真面目なので学校には行くのですが、給食が食べられません。家では、指でつまめるくらいの小さなおにぎりを2~3個しか口に運べません。あっという間にやせ細り、同年齢の標準体重の30パーセント減になってしまいました。周囲に勧められ病院に行くと「摂食障害」と診断されました。それでもすぐに食べられるようにはなりません。

 そんなプロセスを経て、母娘は私のところにやってきたのです。心配でおろおろするばかりのルミさんと、やせて目がくぼみ青白い顔の女児に初めて会ったときはとても驚きました。まだ4年生でした。

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女児が放った「衝撃の一言」

 ルミさんの面談をしながら、女児とも関係性を築きました。少しずつ私と話せるようになったころ、「どうして食べられなくなったのかな?」と尋ねてみました。

 彼女の答えが衝撃的でした。

高学歴親という病』(講談社)

「ママが素敵すぎるから」

 お母さんは高学歴、高収入。スリムだし、顔も美人で、料理も上手である。すべてにわたって完璧だから、自分もママみたいになれないと困る。小3くらいから、体が大きくなってきて、このままではママみたいになれないと思うと、とても不安になった。だから自分は頑張りすぎたのかもしれない――そんな内容でした。

 子どもの言う「素敵すぎる」は、お母さんが完璧だから、ということです。母親みたいに「なりたい」という願望が、本人も気づかないうちに「ならなければ」という強迫観念に変わり、自らを苦しめたのかもしれません。