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「外食しても全然大丈夫だよ」
摂食障害は、環境や親に対する拒絶反応が出る顕著な症状のひとつです。私が出会った摂食障害の子たちのほとんどが、親御さんに過度な食へのこだわりがありました。親が食にこだわり続けたことで、子どもが食べられなくなってしまう。そういう方はおおむね高学歴で、どんなことも完璧にやってのけます。
私はルミさんに「お母さん、ごめんなさいね。娘さん、ちょっと大変な状態かもしれません。食事を摂ってないと倒れちゃったりするでしょ? ばたんと倒れる前に来てくれたから良かったよ」と話しました。彼女は涙を浮かべて聞いていました。
その後、女児は少しずつ食べられるようになり、元の体重に戻りました。お母さんが完璧すぎることは子どもにとってリスクになる。このことは、娘さんが回復してから伝えました。
「お母さんも、頑張って、頑張って、母親をやってるのはよくわかるよ。でも、ちょっと手を抜こうか。有機野菜でなくても、たまに手作りでなくても、外食しても全然大丈夫だよ」
完璧主義な高学歴親は、私の肌感ではシャープで傷つきやすい人が多いです。感受性が強く、不安も察知しやすい。このため、あらかじめネガティブなことを回避するために、目の前のことに一所懸命に取り組みます。
強い溺愛もある。そんな姿が、子どもにとっては「心配ばかりして自分を信頼してくれない」メッセージとして伝わるのです。