ネット上での炎上が続く、回転寿司店での迷惑行為。
「はま寿司」で他の客が注文した寿司に勝手にわさびを乗せる動画が出回ったことをきっかけに、「スシロー」では若い男性が未使用の湯呑みや醤油ボトルを舐め回す、寿司に唾液をこすりつける、回転する皿から1カンだけ取って食べるなどの動画がSNS上で拡散。回転寿司店での迷惑動画が“ブーム”のような様相を呈している。
この異常事態を受け、「スシロー」を運営するあきんどスシローは1月31日に被害届を提出。さらに「迷惑行為を行った当事者と保護者から連絡があり、お会いして謝罪を受けましたが、当社としましては、 引き続き刑事、民事の両面から厳正に対処してまいります」と声明を発表した。
「はま寿司」を運営するゼンショーホールディングスも同様に、警察へ被害届を出したことを明らかにしている。
迷惑行為を受けても泣き寝入りをすることが多かった店側が強硬な対処に出たことについて、自身でも飲食店を経営するなど飲食業界に詳しい弁護士の石崎冬貴氏はこう語る。
「『スシロー』のリリース文を読むと、かなり厳しい対応という印象です。『はま寿司』も加害者からの謝罪の申し入れを断って警察に相談しており、示談で済むことも考えづらい。事態がここまで大きくなった以上、加害者が起訴されて有罪になる可能性は高いでしょう」
「業務妨害罪に器物損壊、もっとも重いのは…」
拡散されているイタズラ動画の行為は、石崎氏によれば大きく分けて「3つの犯罪」に問われる可能性があるという。
「お寿司にわさびを勝手に乗せる、ツバをつけるといった行為は業務妨害罪にあたり、懲役3年以下または50万円以下の罰金が科せられます。さらに、舐められたコップ等は破棄せざるを得ないでしょうから器物損壊罪も加わって、こちらは懲役3年以下もしくは30万円以下の罰金です。もっとも重いのはレーンからお寿司を直接取って食べるもので、これは窃盗罪にあたるため、10年以下の懲役または50万円以下の罰金となります」
一般的な嫌悪感としては注文した寿司を横取りされるよりも唾液まみれの湯呑を使うことの方が大きいが、横取りは法律的には窃盗となり罪が重い。では彼らは現実的にどれほどの刑罰を受けることになるのだろうか。
「動画に映っている男性は若い人も多く初犯だとすれば、社会的な影響を考慮したとしても懲役刑は考えづらいです。とはいえ、法定刑の上限に近い罰金刑が科される可能性は十分にあります。高校生という報道が事実であれば、家庭裁判所に送致され、刑事罰ではなく、保護観察処分を受ける可能性が高いでしょう」