そして自身の経験をもとに、非行少年たちの更生をサポートする活動も行っている。
「22歳で最初に南米から帰って来た時から、非行少年たちの更生には興味がありました。自分が所属していた暴走族の現役メンバーに声をかけて、サンバチームに変えようとしたこともあります。ブラジルで買ってきた太鼓を持って集会場に行って『サンバの楽器を教えるから土曜の集会は楽器を叩け』って演説したり(笑)。暴走族のバイクの音より、サンバの方が聞いている人も嬉しいでしょ? 後輩達には逃げられましたけど、気持ちは伝わったような気がします」
さらに3カ月に1度のペースで、少年院の出院を控える若者たちを対象に膝をつき合わせて相談に乗っている。毎回10人ほどが集まるという。
「少年院は中にいるときも大変だけど、出た後も大変。若者たちから最初は疑いの目で見られても、俺自身の人生がめちゃくちゃだったことを開けっ広げに話すうちに、話を聞いてくれるようになるんです。俺みたいに南米に行く必要はもちろんないけど、視野を広げると人生は違って見えてくる。人に迷惑をかけるんじゃなくて、もっといい方法を見つけて欲しいですね」
「25年前、警察官に六尺棒で顔面を殴られたのが親不孝通りでした」
自分が迷惑をかけた地元博多への罪滅ぼし、そして恩返しの気持ちは強く、改造バイクで暴走行為を行った天神・親不孝通りの町内会会長を引き受けたのもその気持からだった。
「25年前、警察官ともめて六尺棒で顔面を殴られたのがまさに親不孝通りでした。その通りを盛り上げる仕事を自分がしているのは、なんだか不思議な気分ですよ(笑)」
唯一無二のまさに“激レア”な吉永さんの人生。今後の計画もやはり想像を超えるものだった。
「新聞というメディアは、時代について行けていないのではないかと考え、VTuberをやります。ブラジルでも日本の漫画やアニメは大人気なので、VTuberを使って、ポルトガル語の動画で日本カルチャーの紹介をしたいんですよ。現地の人にいろいろなキャラになってもらって、というのを考えていますが、私もやろうと思いましてね。ちょっと私のタイプとは違うんですが、大好きなアル・カポネ(アメリカの伝説的なギャング)みたいなキャラクターをイラストレーターに発注しています」
経験豊富な強面の番長は、VTuberとなっても強面であり続けるようだ。
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