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 また、緑の党は再生可能エネルギーへのシフトを強力に主張しており、ロシアから輸入される安い天然ガスへの依存度を高めるSPD系政権とは一貫して対立してきました。当時は「何を非効率で石頭なことを」と嘲笑されたりもしましたが、ウクライナ戦争の勃発によって緑の党のエネルギー自給重視路線が国益的な観点でも正しいことが証明されています。

 そもそもメルケルの前に7年間首相を務めたゲルハルト・シュレーダーのロシア依存・宥和政策にしても、国と社会のために最善を尽くした努力の結果ならまだしも、当のシュレーダー元首相がロシア利権漬けズブズブだったことが恥ずかしいほどに判明して超萎えました。

首相在任中の2005年にプーチン大統領と会談するシュレーダー元首相 ©時事通信社

 私は人のことを「売国奴」と呼ぶ右派の態度が好きではないのですが、それでもシュレーダーに関しては今なお反省なく居直っている点も含めて「売国奴」としか呼びようがない人物だと思います。

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「武力行使を含めた現実的な左派勢力」があることのインパクト

 ということでドイツ緑の党とその支持者たちが、左派系でありながら戦車供与にゴーサインを出した理由をまとめると以下の3点があげられるでしょう。

・民主主義理念を保護する
・欧州統合理念、つまりEU重視路線を継続する
・エネルギー政策でロシアに弱みを握られていない

 まあその、緑の党が推進する再生可能エネルギーの業界にもいろいろとウラや矛盾があって、実際100%クリーン! なはずはありません。それでも武力行使を含めて現実主義的な思考をする左派系勢力がドイツで大きな存在感を持っている状況は何気にインパクト大といえるでしょう。特に冷戦期の常識感覚の記憶がある人にとってはなおさらです。

緑の党のオミット・ノウリポアー共同党首(47) ©時事通信社

 こうして経緯を紐解くと、「政策ポリシー」「国益」「状況変化への対応」の三者を真面目に突き詰めて考えることが、国家の生き残りにとって何気に重要であることが窺えます。やはり、左派だからといって「自動的に」軍事戦略がらみ議論はNG、みたいな思考停止っぽい姿勢はダメでしょうね。

 ホモ・サピエンスという種族の現在の進化度合からみて、武力の完全放棄をアピールすることが相互理解と世界の安定につながるというアイディアは残念ながら時期尚早です。国家・社会のサバイバル能力がなければユートピア信奉も無意味なわけです。

 今回の私のメイン主張は以上ですが、例のドイツ世論調査では、以下のグラフも印象深いです。 

左が元西ドイツ地域、右が元東ドイツ地域での戦車供与への賛成率。緑の賛成と赤の反対が綺麗に反対になっている ZDFより引用

 結局、統一後30年を経過して、東西格差の不当感と「怨念」はまだ消えていない、というか固定化されてしまったのか、という印象を受けてしまいます。悩ましい。

 ではでは、今日はこのへんで、Tschüss!