ウクライナ戦争が長引いたことで、いよいよ必然的に「主力戦車をウクライナに供与するか、どれだけするか」問題が取り沙汰されるようになってきました。

 地上戦の象徴とも言える主力戦車、その中でも焦点になったのがドイツ製のレオパルト2戦車です。初期型から最新型まで多種のバージョンがありますが、「とりあえずレオ2を装備しておけば一級の装甲戦力と称せますよ。ドイツの一流メーカー品ですし!」的な業界的通念があり、現在の西側、特にヨーロッパ各国の標準戦車というポジションを得ております。

ヨーロッパ諸国で「主力戦車」と言えばレオパルド2 ©時事通信社

 実際の戦車戦でその強さを証明したアメリカのM1エイブラムスほどではなくとも「強そう」なのは確実だし、価格もM1に比べれば割安。クルマでいえば「高級版おベンツは無理かもしれないがBMWなら!」みたいな感じでしょうか。いやBMWも高いんだけど。

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 ということで供与を受ける側のゼレンスキー大統領自身も、とにかくレオパルト2戦車を「ご指名」なんですよ。レオ2拠出こそ本気の証! という政治的シンボル性もあるわけで。

ドイツでは左派政党の支持者の方が軍事協力に積極的?

 さてドイツ政府はこの状況を百も承知していながら、なかなか重い腰を上げようとしませんでした。ショルツ首相はわりと戦争の初期からロシアとの対決姿勢をアピールして周囲を「おお!」と言わせたものの、その後はお茶を濁しながらそれっきり。とにかく悪目立ちしないこと最優先で、西側諸国と足並みを揃えて時間稼ぎしているうちにプーチンが折れてくれないかなぁと念じていたけどダメだった、という展開は皆様もご存知だと思います。

ロシアのプーチン大統領 ©時事通信社

 前首相のメルケルが外交アピールを重視して内政(特に社会インフラ整備)をおろそかにしていたため、極端な内政重視シフト内閣を成立させた直後にウクライナ戦争が勃発した、というツキのなさもあったりはします。

 それでも内外からの継続的な圧力には逆らえず、2023年1月25日、ドイツ政府はついにレオパルト2戦車の自国および他国からの対ウクライナ供与を承認すると発表しました。ついに山が動いた! ここで興味深いのが、レオ2供与についてのドイツ世論調査(調査を行ったのはForschungsgruppe Wahlen e.V.というドイツの研究機関)の結果です。

 これは支持政党別のレオ2供与に対する賛成率で、各政党の特色と合わせて見てもらうと、いろいろ興味深いことがわかってきます。