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 それは収容所に送られて以降も変わらず、「どうせバレないだろう」「バレてもカネを渡せば見逃してくれるだろう」という意識で犯行を続けていたのではないか。

 少なくとも、入管側の汚職体質が渡辺たちの犯行を手助けしたわけではない。連続強盗の指示があったのならば、それは日本語で行われていたわけで、仮に入管の職員から所持品の抜き打ち検査をされたとしても、言葉の問題から犯行の実態が解明されることはなかっただろう。

受刑者に聞き取りする司法長官(当時)

札束でフィリピン人の顔を引っ叩いているようなもの

 渡辺容疑者たちが収容されている期間、在フィリピン日本国大使館の邦人援護班も収容者たちの面会に行くことができなかった。新型コロナの流行で、入管側から収容所への立ち入りを規制されていたためだ。担当者が語る。

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「コロナのために面会は許されていませんでしたが、援護班として収容所から連絡を受け入れる体制は整えていた。『助けてほしい』、『家族に連絡を取って欲しい』と言われれば、その都度対応していた」

 仮に面会ができていたとしても、収容者たちが自身の生活ぶりやプライバシーに立ち入れさせないため、中で何をしているのか把握するのは極めて困難とみられる。

ビクータン内部

 たしかに、順法精神の高い日本的モラルに鑑みれば、カネで何でも手に入る収容施設の実態は、非常識極まりないはずだ。だが、その腐敗体質が今回の強盗事件を生み出したわけではない。

 4人の容疑者が収容所を拠点に犯行に及んだのだとしたら、それはフィリピンの「法規制の緩さ」につけ込んだ結果である。犯人は日本から逃れた日本人であり、入管の職員ではない。誤解を恐れずに言えば、4人の行動は所得水準の格差を利用し、札束でフィリピン人の顔を引っ叩いているようなものである。

写真=水谷竹秀

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