カネを払えば何でもできる––––––。

 全国で相次ぐ強盗事件の指示役「ルフィ」とみられる日本人の男ら4人が拘束されているフィリピン入国管理局のビクータン収容所。その腐敗体質があらためて浮き彫りとなり、日本のメディアから非難の「集中砲火」を浴びている。

 特に今回問題となったのは、収容所内における携帯電話の使用だった。

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 私は2004年から10年以上、「日刊まにら新聞」で記者として働いた。その担当の1つが入国管理局で、収容所には多い時で月に1度は面会に通った。当時から塀の中にいる日本人収容者たちとは携帯電話でやりとりをしていたし、そもそも、入管側が善意で携帯電話の使用を認めていたのだ。

ビクータン収容所前のゲート(2018年12月)

収容者と職員の「馴れ合い」がエスカレート

 通貨偽造、覚醒剤使用、拳銃密輸、違法ドラッグ販売、脱税、車両窃盗、横領……。私がこれまでに面会した逃亡犯たちが日本で起こした犯罪の数々だ。

 収容所での生活は、まさしく「カネが物を言う世界」である。

 扇風機しかない一般の部屋は暑さで寝苦しく、ダニにも襲われる。配給される食事も一袋のコメとカレーなどの一品料理という質素さで、収容期間が長引けば、体にこたえる。もっとも、「犯罪者を収容する施設で快適さを求めるのはいかがなものか」という声も聞こえてきそうだが、その環境は、日本の拘置所よりは劣悪だろう。このため資金力のある一部の収容者は、職員にカネを渡し、エアコン付きの「VIPルーム」をあてがわれ、あるいは外部からファストフードなどの食事を注文していた。