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なぜフィリピンの収容所は「ゆるい」のか? “ルフィ事件”の犯人たちは、その腐敗体質につけ込んだ

2023/02/07

genre : ニュース, 社会

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 公務員にカネを渡して便宜を図ってもらうのは賄賂だ。しかし、両者の関係は所得水準の高い外国人と途上国のフィリピン人で、日本で昨今騒がれた「五輪汚職事件」にみられる賄賂とは性質が異なる。フィリピンでは公務員の平均給与は月額平均約3万ペソ(約7万2000円、1ペソ=約2.4円)で、物価も日本のだいたい3分の1と安くはなるが、それでも一般の公務員の生活に余裕はない。だから日本人を含む外国人からカネを渡されれば、倫理的に間違っていると分かっていても受け取ってしまうのだ。

入館収容所の内部

部屋に入りきらない収容者たちが床で雑魚寝

 そうして職員との「馴れ合い」の関係がエスカレートし、酒やゲーム機、テレビなど何でも持ち込めるようになったのだろう。逆にお金のない収容者たちは、余裕がある収容者たちのマッサージや皿洗いなど身の回りの世話をして生活資金を稼いでいた。

 入管の収容所は、各国からフィリピンへ逃れてきた逃亡犯やフィリピン国内で入国管理法(不法滞在など)に違反した外国人が、強制送還されるまで一時的に収容される施設だ。マニラ中心部から車で約1時間南下した首都圏警察本部内にある。

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 収容者の数は2023年2月1日現在、317人で、うち女性は20人。国籍は中国、韓国、日本、米国など様々で、日本人は前述の4人を含めて17人いる。以前は全員で150人程度だったが、ここ最近、オンラインカジノで不法就労していた中国人が大量に摘発され、収容所に移送されたことが過密状態につながった。この結果、部屋に入りきらない収容者たちが、床で雑魚寝するようになった。

ビクータン内部

渡辺容疑者たちの思い上がりか

 マニラからの報道によると、日本人容疑者4人のうちの1人、渡辺優樹容疑者(38)は2021年4月に拘束されるまで、繁華街のフィリピンパブやマニラ湾沿いのカジノで豪遊していた。交際相手の日本人女性に現金2000万円をフィリピンまで運ばせたり、拘束時に5000万ペソ(約1億2000万円)の賄賂を入管職員に持ちかけたりといった疑惑から、「この国はカネで何とでもなる」という思い上がりがすでにあったとみられる。

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