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「森さんは陸連時代には勝手にビジネスクラスで海外出張に何度も行くなど幹部としては素行が悪く、スポーツ界で顔がきく平田さんの覚えもめでたく出世コースだったはずが、そのレールから自分で外れた形です。おまけに陸連の事務局長に森さんのライバルが就任したこともあって、陸連に戻る道は断たれていました。つまりオリパラは森さんにとって“ラストチャンス”だったんです」(組織委関係者)

開会式当日のオリンピックスタジアム

全く英語が話せず、マラソンを東京で実施できなかった“戦犯”に

 しかし出向先のオリパラ組織委でも強引な手法は変わらず、周囲からの評判は良くなかったようだ。組織委関係者が匿名を条件にこう話す。

「社交的とはとてもいいがたく、よく言えばまじめ、率直に言えば暗い人でした。組織委には東京都などから多くの公務員も出向していたのですが、『森さんが一番公務員っぽいよね』と囁かれていました。マラソンを東京で実施できず札幌で実施することになったのも、全く英語が話せない森さんが世界陸連とうまくコミュニケーションが取れなかったから、と言われています」(同前)

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AOKIの前会長も逮捕されている ©️時事通信社

 そして逮捕案件にもつながる“金遣いの汚さ”や、スポンサー企業との距離の近さも際立っていた。

「組織委は公益財団法人ですから、外部の人と食事をする時は1円もご馳走になってはいけないし、贈り物もダメなのは常識。研修でも厳しく教えられるのですが、森さんはスポンサー企業に札幌出張の高級ホテル代や食事代を払わせたことがあるようです。後にスポンサー企業に役員待遇で迎え入れらたのですが、その会社には今月8日に家宅捜索が入っています。予算を切り詰めるために自腹でカプセルホテルやマンガ喫茶に泊まるような職員もいる中で、『トップがそんなことをやるんですか』とみんな呆れかえっていましたよ」(同前)

 陸連時代に平田氏の庇護を得たように、組織委内で発言力を持っていたのは、苗字がおなじ“あの政治家”の影響もあったようだ。