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「俺は森喜朗の親戚だぞ!」

「『俺は森喜朗の親戚だぞ!』と周囲に威張り散らしていたんです。あれは本当なんですかね……? 何にせよとにかく高圧的なので、組織委でも『森派』と『反森派』がいました。森さんは自分にすり寄って来る人間には優しくするけれど、意見を言ってくる人間は怒鳴りつけたり部署異動させるような、典型的なパワハラ上司タイプ。スポンサー企業から出向している人に対しても偉そうにしていて、周囲はハラハラしっぱなしでした。『自分はスポーツイベントに精通している』『組織委の初期から参加している』と豪語していましたが、逮捕されるようでは元も子もありません」

ここでも森喜朗氏の名前が… ©文藝春秋

 組織委の中には公務員や大手企業からの出向組などコンプライアンスを重視するメンバーもおり、森容疑者の態度に疑問を持ち、談合に異を唱える者もいたというが、彼らの声が聞き入れられることはなかった。

逮捕された森泰夫容疑者(左)。「あり得るかもしれない人生」とは何だったのだろうか 日本記者クラブHPより

「どの競技会場をどの会社に割り振るかは、森さんが決めていました。本当にそうなのかはわかりませんが森喜朗元会長との親戚関係を公言し、自分の意向は森元会長の意向だと匂わせていたので、代理店も文句を言いづらかったようです。もちろん関係者からは『このやり方はおかしい』という声もあがり、一部の広告代理店の“良識派”は『競争入札でお願いしたい』とも主張しました。だけど森さんや電通幹部はこの声を完全無視。これまでのサッカー大会などでの成功体験が、彼らを傲慢にしていたのだと思います」

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 スポーツの祭典をめぐる談合汚職事件。真相が解明される日は来るのだろうか。