Twitterのフォロワー数は4000万、2022年5月にはホワイトハウスでバイデン大統領と会談……韓国発のアイドル・グループ「BTS」はなぜ世界的な人気を集めたのか?

 韓国エンタメ業界に詳しいコンテンツプロデューサーの黄仙惠(ファン・ソンヘ)氏の新刊『韓国コンテンツのグローバル戦略 韓流ドラマ・K-POP・ウェブトゥーンの未来地図』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

BTSはなぜ世界を席巻できたのか?(画像:ホワイトハウス公式YouTubeより)

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おじさんを虜にした第2世代のK-POP

 K-POPはいつから世界に向けて活動を開始したのか。

 韓国ドラマ『応答せよ1997』は、1990年代に韓国で人気を博した2大アイドルグループH.O.T.とSechs Kiesを追いかける若者たちの青春を描いたドラマだ。勉強せず、授業をさぼって音楽番組を鑑賞する際に繰り広げられるファン同士の熱烈な応援合戦も見所だった。

 近年ドラマだけでなく、K-POPが韓国の大衆文化を代表するジャンルとして台頭してきたのは世代交代と関連がある。第1世代は、1990年代後半に韓流の芽を出したH.O.T.、Sechs Kies、S.E.S.、Fin.K.L、godである。

 次の第2世代がK-POPが本格的に世界的にスタートした2000年代半ばから2010年代前半に活躍した世代である。代表的なグループは、少女時代、Wonder Girls、KARA、BIGBANG、SUPER JUNIOR、東方神起など。

 海外市場への継続的な進出によりBTS(防弾少年団)、EXO、TWICE、BLACKPINKなどの第3世代と、aespa、IVE、ENHYPENなどの第4世代が、世界の音楽業界に挑戦している。

昨年5月には、バイデン大統領とも会談 (画像:ホワイトハウス公式YouTubeより)

 ここで注目したいのは、第2世代のガールズグループだ。韓国の国内音楽市場は、かつては男性グループに女性ファンがつくもので、女性グループの結成にあまり積極的ではなかった。ドラマ『応答せよ1997』がいい事例だ。

 しかし、少女時代、KARA、Wonder Girlsという第2世代のガールズグループの人気によって男性ファンが飛躍的に増えた。韓国語で「삼촌팬(サムチョンペン)」は若い女性アイドルグループが好きな中年男性のことを指す。

 サムチョンはおじさん、ペンはファンという意味で、30代から50代の経済力のある男性が、好きなガールズグループのCDやグッズなどを一つも欠かさず購入する。日本で「アイドルオタク」と呼ばれるような層だ。韓国では第2世代のガールズグループが登場し、10代や20代のファンよりも経済力のあるおじさんファンを大事にするという戦略に更新された。