観る音楽の時代を切り開いたMV。とくにK-POPはMVを通して、各々のアーティストのコンセプトを大衆に伝えている。マイケル・ジャクソン、マドンナ、ビヨンセなど、世界のトップアーティストのMVのレベルははるかに高い。
BTSの生みの親であるプロデューサーのパン・シヒョク氏は、ある番組で、メンバーとともに音楽とMVの完成度を高めるために努力してきたと語った。
アルバムやMVの制作準備段階は、彼らの完璧さへのこだわりがピークに達する時期である。アルバムの準備期間に入ると、練習が公式スケジュールになる。練習に集中するために、他の活動はほとんど停止する。これに対して経済的に損失ではないのかと心配する声もあるが、「恥ずかしくないレベルのものを作るためには、どんな損失も受け入れる覚悟がある」と最初からメンバーと自分に誓っていたと言う。
K-POPを好きな理由として、世界のファンはMVやステージパフォーマンスのストーリー性をよく挙げる。いくら英語の歌詞が使われていても、その曲の意味や世界観をすべて海外のファンが理解することは難しい。
そこでK-POPは音楽を最も分かりやすく理解するためのツールとして、パフォーマンスやMVのクオリティを磨いてきた。音楽はダンスで聴き、音楽のコンセプトはMVで再現する。新しいアルバムが発売されたとき、人々が最初に出会うのはMVである。MVには音楽とともに、そのアーティストやアルバムのコンセプト、メッセージ、世界観がすべて含まれている。
「BTSのMV」が世界中で通用したワケ
BTSのMVはすべて「成長」の世界を映し出している。学校、青春、誘惑、愛……。彼らは音楽を通じて、同じ世代を生きるファンへの共感を「成長物語」に落とし込んでいる。
彼らのMVは「世界を理解させる」ことよりも「世界をありのままに見せる」ことに重きを置く。社会の規律や秩序に縛られることなく、自分の内なる声に従って生きることで人生を定義するのだと。新しいアーティストシップや芸術性を発揮したそのメッセージが、MVを通じて世界中のファンへと訴えかけられている。