20~30歳の大卒者の割合は69.8%とOECD加盟国中トップ。国民の多くが学歴を重視する「韓国社会の現状」を、韓国文化に詳しい黄仙惠(ファン・ソンヘ)氏の新刊『韓国コンテンツのグローバル戦略 韓流ドラマ・K-POP・ウェブトゥーンの未来地図』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)

あまりに熾烈な「韓国の学歴社会」とはいったい?(画像:アフロ)

◆◆◆

大学進学率70%以上、韓国人にとって大学とは

 韓国人が強く意識することに「居住地」「車の種類」「学歴」がある。これらは階級社会であった韓国の歴史と文化がもたらしたものだと考えられる。

ADVERTISEMENT

 朝鮮王朝時代、当時の首都である漢陽(ソウル)には4つの大門があり、4つの大門に囲まれた地域には限られた人しか住めなかった。身分制度があったため、王侯貴族など上流階級の人々が多く住んでいた。移動手段も歩く人、駕籠に乗れる人、馬に乗れる人など身分によって様々で、科挙(公務員試験)の受験資格も身分によって様々だった。こうした身分による住まいや乗り物、教育の違いは、韓国人の心のどこかに潜在しているのかもしれない。

 ドラマ『SKYキャッスル 上流階級の妻たち』は、我が子を名門大学に入れたい親たちの受験戦争を描き、社会現象にもなった人気作品である。

『SKYキャッスル 上流階級の妻たち』(画像:公式サイトより)

 ドラマチックな設定や過剰な表現があるものの、子どもの大学受験にかける親の情熱はリアルに近いものがあるだろう。脚本を担当したユ・ヒョンミ氏は、自分の子どもの大学受験のときに初めて入試カウンセリングを知り、自分の経験をもとに韓国の教育の現実を描きたいと思ったという。

 韓国の教育部の調査によると、2021年の高等教育(大学)への進学率は71.5%で、前年比1.1%増、2012年以来過去10年間で最高の進学率で、毎年上昇傾向にある。

 OECD(経済協力開発機構)の教育分野の年次統計によると、韓国の20~30歳の大卒者の割合は69.8%(OECD加盟国中1位)である。一方、50~60歳の大卒者の割合は25.1%に過ぎない(OECD平均は29.1%)。これは、近年における急激な進学率の上昇を物語っている。