韓国の統計開発院が毎年発表している「国民生活の質2021」によると、25~64歳の成人のうち、短大・大学を卒業した人は2005年の23.8%から2020年には50.7%と、15年間で2倍以上に増加した。
高等教育の修了率はOECD平均(39.0%)より11.7ポイント高い。2005年と比較すると、OECD諸国の平均高等教育修了率は15年間で12.7ポイント上がっているが、韓国は19.1ポイントと大幅に上昇している。
高等教育を受けた人口の割合が高いということは、社会の教育水準が高く、教育機会に恵まれた人たちが多いことを意味する。また、一流大学の卒業生は、将来エリート企業に就職し、安定した生活を送ることが期待される。
しかし、韓国の若者の雇用実態を見るとそうではない。2021年15~29歳の経済活動人口の失業率は7.8%、雇用率は前年度比2.0ポイント上昇したが、44.2%にとどまり、2014年から2020年の若者の失業率はほぼ9.0%を超えると見られる。
高等教育を受けたからといって、必ずしも卒業後に希望する職場に就職できるとは限らない。だが間違いなく、予備社会人として大学でしっかり勉強して、卒業後にきちんとした仕事に就くべきという考え方が韓国には定着している。韓国で高等教育を受ける人の割合が高いのは、「自分の力で自分の未来を切り開きたい」と考えているからだ。しかし残念ながら、社会がそれに見合った優雅な雇用環境や新しい雇用構造を提供することができていない。
韓国人の間で根強い「学歴主義」だが…
韓国人にとっての大学とは、ドラマによくあるような、名門大学を卒業し、一流企業に就職し、韓国一の高級住宅地である江南に住み、高級車を所有する美しい主人公になるためのものだろうか。
韓国人のほぼ半数は、学校教育が人生・仕事・職業に良い影響を与えると信じている。学校教育の効果に関する「国民生活の質2021」調査では、「生活・仕事・職業に活かす効果がある」と回答したのは40.2%で、2018年の35.6%から4.6ポイント増加した。年齢層による違いもあり、学生世代の13~19歳が47.9%と最も高く、60歳以上では47.2%である。
教育は国家の百年の計と言われる。教育は知識を得るための過程であると同時に、新しい知識を創造するための原動力でもある。社会的な側面では、生活の質の格差を埋め、個人の潜在能力を発揮させるために不可欠な社会的な手段とみなされている。
教育に関する考え方は、昔からあまり変わっていない。名門大学を卒業すれば、一流企業に就職でき、社会から認められる優秀な人材になり、それがお金をもたらす、ということである。教育は富と繁栄の扉を開く手段の一つかもしれないが、現実の大学入試は人生全体に影響を及ぼすほど厳しい。