「いい人との出会いがない…」。そんな悩みに、華道家→極道→AV監督という異色の経歴を歩み、人生の酸いも甘いも噛み分けた代々木忠さん(84)はどう回答したのか? 新書『人生を変えるセックス 愛と性の相談室』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

「出会いがない…」と悩む前にまずやるべきこととは? ©アフロ

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Q いいなと思う人に出会う機会がありません。どうしたら会えるでしょうか?

代々木忠からの回答「かつて豊丸という女の子がいました…」

 いい人になかなか出会えないと思ってる人はたくさんいます。でも、じつは会っているかもしれないんです。たまたまスクランブル交差点で擦れ違っていたかもしれないという話じゃなくて、会話をしたり、一緒に食事をしたり、場合によってはセックスだってしているかもしれない。ただ、その人のことを好きにはならなかったというだけで……。

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 ちょっと極端な例をお話しすると、かつて豊丸(とよまる)という女の子がいました。ハードなプレイが売りもので、淫乱女優として一躍有名になった。名のある女優をあまり撮らない僕が彼女の引退作を撮ることになったんです。

 撮影の日の朝、「今までビデオでいろいろ頑張ってきたけど、実際はどうだったの?」って訊いたら「怖かった」と言う。

 それまで映像の中で、彼女は貪欲になんでも求めているように見えました。でもメーカーや制作会社の要求がどんどんエスカレートしていくにつれて「きょうは何をさせられるんだろう」と実際は怯えていたんです。僕から見ても、アソコに大根を入れたり、手首を突っ込んだりするのは、とてもじゃないがセックスとは言えません。

 その日、僕は男優に「過激なプレイはいっさい要らない。感情が伝わるセックスに徹してくれ!」と言いました。たとえ撮影現場であっても、最後に彼女が男とやさしさを与え合うようなセックスができればいいなぁと思いつつ……。

 引退後、彼女はクラブを出しました。あの豊丸が、ということで当時お店にはタレントや俳優など有名人もたくさん訪れたそうです。彼女はお客として来ていた一般の人と結婚し、子どもを4人産んだと聞いています。