慶應義塾大学を卒業し、大企業に就職した24歳の男性が、アダルトビデオの撮影で犯した「ある失敗」とは? 人生の酸いも甘いも噛み分けたレジェンドAV監督・代々木忠さん(84)の新刊『人生を変えるセックス 愛と性の相談室』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/後編を読む)
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Q ネットや雑誌のテクニックを読んでもセックスが上手くなりません。
代々木忠の回答「ハウツー術の落とし穴」
アダルトビデオの男優や女性用風俗(女風)のホストならば、セックスにテクニックが求められます。男優は見せるセックスをしなければならないし、女性用風俗なら女性たちは恋愛ではなく快楽を求めてやってくるわけですから。
「ザ・面接」で出演者の女性用風俗体験談をベースにした再現シーンを撮っていたとき、エキストラも含めその場にいた6人中3人が体験者ということもあり、女風の話で盛り上がりました。彼女たちは女風のホストについて「一般の人とは違う」と言います。「どこが違うの?」って訊いたら「テクニックがぜんぜん違う」と。
でも、恋人や夫婦はセックスのプロじゃないので、彼らと同じようになる必要が果たしてあるんだろうかと思うのです。「いや、俺はプロレベルのテクニックを身につけて、彼女を悦ばせたいんだ」と言われるでしょうか。
しかし、ネットや雑誌でテクニックを学ぼうとすると、大きな落とし穴が待っています。
「お姉様淫女隊」シリーズに「咥えていじって心の奥まで犯してあげる!」という作品があります。プロの男優ではなく一般の出演者を募り、高学歴の男性ばかりを集めた作品です。そのなかに慶應義塾大学を卒業して社会人2年目の達也(24歳)がいました。
このシリーズは淫女隊と呼ばれる3人の女性が男をセックスで解放していくというもの。達也は淫女隊に責められ、あっと言う間に射精したあと、「今度は僕が感謝の気持ちをセックスで恩返しするね」なんて言い出します。下手な役者が棒読みしているようなセリフに現場の空気がシラケていくなか、「気持ちいいところを言ってくれれば、ピンポイントで責めるから」と。
空回りしている言葉に、淫女隊からは失笑が漏れました。淫女隊のなかでもとりわけ感性豊かな早紀(20歳)が、
「さぞかし女の体を知り尽くしているんだね。じゃあ、お任せします」
「シェフのお任せコースでいい?」
「なんでもいいよ」