上司との不倫がやめられない女性に、華道家→極道→AV監督という異色の経歴を歩み、人生の酸いも甘いも噛み分けた代々木忠さん(84)がお答え。新刊『人生を変えるセックス 愛と性の相談室』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

上司との“道ならぬ恋”に悩む相談者……。彼女の真剣な悩みに、AV業界の生きる伝説・代々木忠氏はどう答えたのか? 写真はイメージです ©getty

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Q 上司との不倫に悩んでいます。いけないこととは思いつつ別れられません。

回答「社会やマスコミはいろいろ言うけれど…」

 以前、若い女性から同じような相談を受けたことがありました。彼女はOLで、妻子ある上司と不倫をしていました。彼女の話を聞いたあと、僕はこう言いました。

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 どんどんおやりなさい。今は恋愛できない人が増えています。でも、あなたは恋愛できている。不倫がいけないというのは「思考」です。恋愛やセックスは「感情」と「本能」でするものです。たとえ妻子がいる人でも、好きになれば一緒にいたいと思うのは「感情」だし、肌を重ねたいと思うのは「本能」です。そもそも「本能」には善悪も正邪もありません。

 ただし、あなたの恋愛によって傷つく人もいるかもしれない。秘密は墓場まで持っていくべきでしょうし、傷つく人に気づかれるような脇の甘さは決してあってはなりません。それが最低限のエチケットだとは思いますが……。

 これを読んだ人のなかには「不倫を推奨してどうする! 諭して思いとどまらせるのが大人の責任じゃないのか」と思う人もいるでしょう。今回の相談者は「いけないこととは思いつつ」と言っていますが、以前のOLも同様に罪の意識を持っていました。やめられるくらいなら、とっくにやめている。やめられないから悩んでいるわけです。

 けれども、悩んでいても解決はしません。「会いたい」と「いけないことをしている」という思いの狭間で揺れながらズルズルと続いていくのが、いちばんよくない。葛藤や自己嫌悪から抜け出せなくなりますから。

 不倫に対して社会やマスコミはいろいろ言うけれど、まぁ、無責任です。なにか手を差し伸べてくれるわけじゃないので、そこはちょっと外して考えるほうがいいでしょう。