「女性にモテたい……」。そんな悩みを持つ読者に、伝説のAV監督・代々木忠さん(84)はどんなアドバイスを送ったのか? 新書『人生を変えるセックス 愛と性の相談室』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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Q 女性にモテる方法を教えてください。
代々木忠からの回答「AV監督・二村ヒトシの復活劇」
ある雑誌でAV監督の二村ヒトシと対談したことがありました。初対面でしたが、対談を終えたあと、彼は僕の監督作品「ザ・面接」に男優として出演したいと言ってきました。聞けば「自分を変えてみたい」と言う。「1本だけじゃあ、なにもつかめないだろうから、最低でも5~6本出るつもりならいいよ」と答えました。
「ザ・面接」はビデオに出たい女性を面接し、そのセックスを女性審査員たちが判定するシリーズですが、当時は“瞬間恋愛”をテーマにしていました。肉体の快感だけではなく、たとえ瞬間であっても目の前の相手を好きになる、そんなセックスが撮りたかったからです。ルールとしては、男優2人が女の子に自分をアピールし、彼女に選ばれたほうがセックスできるというもの。もちろんガチです。
これはベテランの男優にとっても、ずいぶん勝手が違います。他の作品ではセックスする相手はあらかじめ決められています。けれども瞬間恋愛では、選ばれなければ指をくわえて見ているだけ。しかも、6人の女性審査員が興味津々で見守っています。こうなると、選ばれないことに男は本気で傷つくものです。「どうせ撮影なんだから」と高をくくってはいられません。
さて、二村がどうなったかですが、手も足も出ませんでした。いいところで他の男優に女の子を奪われ、取り残された彼は自分でシゴきながら、終わった男優に場所をあけてくれるよう頼みました。こうしてやっと女の子の上に乗っかるものの、結局中折れしてしまう。
監督である彼は、これまで指図してきた男優たちと今回は同じ土俵でやらなきゃならない。男優たちの手前「見せ場を作らなきゃ」という意識が働いたのでしょう。要するにカッコをつけたんですね。その結果が女の子に対しての上から目線です。口数も多い。その中身は自己を正当化する理屈ですから、女の子にしたら「ダサ」って感じです。
中折れ後、他の男優たちがやるのを隅で眺めていた二村に「おい、そこで休んでる場合じゃないぞ! 新人が手抜きやってるよ」と僕は言いました。