審査員の1人にテクニシャンの熟女がいたんですが、彼女を二村に差し向けました。二村はあっと言う間に主導権を握られ、しかし今度は中折れすることなく、何が何だかわからないうちにイカされてしまいます。このときの二村には余裕というものがありませんでした。まったくの無防備で、素が出てしまっている。
ところが、このカッコをつけない彼のひたむきさに、見ていた女性審査員たちは反応したんです。いいところで女の子を他の男優に取られ、せめて一矢報いようとチャンスを作りながらも中折れした二村。一生懸命やっているのに上手くいかないその一部始終を女性審査員たちは見ていました。
もしも途中で二村が落ち込み、拗ねていたら、誰も応援することはなかったでしょう。でも彼は拗ねなかった。たとえ失敗しても、そこでヘコんでしまうのではなく、前向きに何とかしようとしていました。もともと監督という肩書きを捨ててでも何かをつかみたいという思いが、最後まで彼を曲げさせなかったのかもしれません。
もっとも、その思いが前半ではことごとく裏目に出ました。カッコつけようとしたからカッコ悪い結果になり、その意識すらなくなったときにカッコよく見える。逆なんです。しかし、ついつい男はこの墓穴を掘ってしまいがちですよね。
カッコつける男に誰が惚れますか?
女性にモテたければ、カッコをつけないことです。自分ではカッコいい男を演じているつもりでも、意識はそっちに向かうので、100パーセントで向き合ってくれてないことを女性はすぐに見抜くでしょう。しかも話の内容が自己正当化やひけらかしで、そのうえ上から目線だったりしたら、そんな男に誰が惚れますか?
「跂者不立」という言葉があります。「つまだつものはたたず」と読みます。「跂つ(つまだつ)」とは「爪先立つ」のことで「自分をよく見せようと背伸びをし、爪先で立とうとすれば、かえって足元が定まらない」という意味です。等身大でいくしかないんですよ。
「もしフラれたら……」とか、意識が先に行くことなく今ここにちゃんといて、自分の思いを態度や行動で表わす以外にいったい何ができるでしょう。
そして最も大切なのは、自分の思いどおりにならなくても、決して拗ねないことです。そんなあなたを見ている人が必ず現われますから……。
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