対防衛費増スキームに海外視察同行……逸材揃いの「平成7年組」
昨年末、防衛費増額で名をあげたのは財務省主計局の一松旬主計官(平成7年)だ。一松氏は、官邸、防衛省、自民党の間を奔走し、防衛費増の財源に法人・所得・たばこ税増税をあてるスキームを練り上げた。
そして年明けの霞が関で名前がよく出たのは、外務省総合外交政策局の高羽陽安全保障政策課長。年初の1月8〜12日に菅前首相のベトナム視察に同行したためだ。与党幹部外遊には訪問国を所管する地域局から「中二階」と呼ばれる審議官、参事官クラスが選抜されるのが慣例だが、高羽氏はアジア大洋州局所属ではない。官房長官時代から首相退任まで、菅氏の秘書官を務めたため、菅氏が指名したと話題となった。
この一松、高羽の両氏はいずれも平成7年入省であり、2人以外にも、「平成7年組」は各省庁に逸材がそろう。
財務省では、これもまた菅氏の秘書官を長くつとめた大沢主計官、外務省は加藤勝信官房長官時代の秘書官だった山本文土駐韓公使、前ロシア課長の入谷貴之北米局北米第一課長などがいる。
経済産業省では坂本里和官房会計課長、奥家敏和経済産業政策局総務課長、香山弘文製造産業局総務課長・生活物資等供給確保戦略室長の3人の名前があがる。なかでも同期唯一の女性である坂本氏は経済産業畑が長く、同期のトップをひた走る。
彼ら「平成7年組」を採用した人事責任者も興味深い。外務省は谷内正太郎官房人事課長(元外務事務次官・昭和44年)と梅本和義人事課首席事務官(現国際交流基金理事長・52年)のコンビ。
財務省は主計局次長時代に大蔵省不祥事に連座して退官した杉井孝官房秘書課長(44年、旧大蔵省)と田中一穂秘書課人事企画官(元財務事務次官・54年)。経産省は太田信一郎官房秘書課長(元特許庁長官・44年、旧通商産業省)、高原一郎人事企画官(元資源エネルギー庁長官・54年)だ。いずれも霞が関の著名人であり、「平成7年組」の行く末も気になるところだ。
「霞が関コンフィデンシャル」の全文は、「文藝春秋」2023年3月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています。
「異次元」に呻吟する財務省、「平成7年組」を採った霞が関の著名人、女性総長と黒川問題、日銀の新布陣
【文藝春秋 目次】芥川賞発表 受賞作二作全文掲載 井戸川射子「この世の喜びよ」 佐藤厚志「荒地の家族」/老化は治療できるか/防衛費大論争 萩生田光一
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