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なぜ取り調べの際には「居眠り運転」を認めたのか

 被告弁護人や検察官、裁判長などからの質問にあくまでも「記憶にない」と繰り返した岩瀬被告。ではなぜ、取り調べの際には「居眠り運転」を認めたのか。本件で被害者参加弁護人を務めるベリーベスト法律事務所の伊藤雄亮弁護士が語る。

レッカー移動されていくトラック(YouTubeより)

「被告は、被告弁護人からの質問に、『記憶がないと伝えただけだが、ドライブレコーダーを見て、推測で書かれてしまった。眠気は催していないと言った』と述べました。

 一方、反対尋問で検察官から『(ドライブレコーダーの)映像を見ても、居眠りをしていたとは納得できないか』と問われると、被告は『できないけど、そうかもしれない』と答えています。さらに裁判官が、『記憶にない理由は何なのか?』と質すと、『睡魔を感じていたからではないかな、とも思う』とも語っているのです」

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心肺蘇生をしていると見られるシーン(YouTubeより)

 岩瀬被告の曖昧な供述は、最愛の両親を失った星野さんに対して“無責任”極まりない向き合い方だが、さらに耳を疑う発言があったという。

「被告は検察官から『どういう償いをするべきか、妻とは相談はしないのか』と質されると、『二人で乗り越えていこうとだけ話した。具体的な話はしていない』と語ったのです。また、最後に私が『何をもって償うのですか』と問いかけると、『わからない』の一言でした。反省しているとは全く思えませんし、両親のことなどどうでもいいのでしょう。

2021年5月、有人島では日本最南端の波照間島にて記念撮影をする山本夫妻(遺族提供)

 また、裁判のなかで、2021年12月頃に被告が“危険運転”(蛇行運転)をしたとして物流会社にクレームが入っていたことが明らかになりました。そもそも、会社側がその時点でしっかりと社員教育をして、再発防止に取り組んでいれば、両親の事故はなかったと思います」(星野さん)

*岩瀬被告の弁護人兼物流会社の代理人は、文春オンラインが物流会社に送った質問状に対し、〈「危険運転をした」とのクレームを受けた事実はありませんが、クレームに対しては事実関係を確認の上、必要な指導・教育等を実施しております。〉と回答。追加の電話取材では、「クレームが入った」こと自体は認め、「危険運転ではない」と主張した。