出資は「大根皮むき機」から「ホリエモンロケット」まで
――第1号案件はどんな企業に対しての出資だったんですか?
石井 大根や人参の洗浄機、皮むき機を製造販売する、旭川市のエフ・イーさんです。2012年7月のことです。
――最近では、たとえば昨年「ホリエモンロケット」打ち上げで注目を集めたロケット開発ベンチャー、インターステラテクノロジズにも出資しています。本社が十勝地方の大樹町。
石井 天気が悪くて、打ち上げが何回も延期になったんですよね。私どもの職員もずいぶんやきもきしちゃって(笑)。北海道にとってロケット産業はこれからプラスになっていく分野だと思っています。
――大学のベンチャーにも出資をされていますね。
石井 公立はこだて未来大学によるライドシェアシステムの開発などですね。大学ベンチャーはまさにアーリーステージ段階のことが多いんですけど、積極的に支援していけるようにしたいですね。
――日本初の大学ベンチャー企業は北大の伊福部達教室から生まれたそうですが、初音ミクを生んだクリプトン然り、サッポロバレーと呼ばれるベンチャー起業の水脈は続いている感じがしますね。
石井 そうですね、技術力や商品開発力についてはこれからが楽しみな企業がたくさんあります。だからこそ、これから必要なのは経営者の片腕となってマネジメントできる人材をどう供給できるかだと考えています。そこで日本人材機構と組んだ人材供給会社にも出資をしたところです。
地銀は地方経済のコーディネーターであるべき
――お金を貸すだけの次元ではない感じですね。
石井 いやまさに、これからの地方銀行は、ますます地方経済のコーディネーターになるべきだと思っています。もちろんファイナンスで支える役割がありますが、さらに大きな枠組みで地方創生をお手伝いする役割も担っていける。
たとえば現在、北海道特有の広域分散化した物流網をもっと効率化できないか、自治体、運送業者、農協などと一緒になって考えるプロジェクトを進めているんです。まだ名寄という地域での実験構想段階ですが、トラック運転手が減少して物流コストが割高になっている現状を、「道の駅」というインフラを使ってどう打開できるか試行しているところです。私たちは物を運ぶことも、集荷をすることもできないんですけど、舞台の雰囲気を作り、資金面でも背中を押すことはできるだろうと思ってやっています。