目的と手段を入れ替えないために
ここで強調しておきたいのが、目的と手段が入れ替わってはいけないということです。つまり、(業務上資格を求められているなどのケースを除き)「FP3級合格」を目的にしないでほしいです。
実は本記事の内容は、2021年3月に書いた同名のブログエントリを元にしています。1300件以上はてなブックマークが付き、Twitterでもたくさんの反響をもらいました。編集部から「その後の心境の変化や、少し世の中が変わったことを受けての補足をして執筆してほしい」と提案をもらい、いま記事を書いています。
2021年にブログを書いてから約2年、世の中はいろいろと変化していますが、もっとも関連が深く感じるのは「リスキリング」「リカレント」(学び直し)ブームです。コロナ禍における社会不安や、リモートワークによって時間が空いたことなどを要因として、大きな市場が生まれつつあります。民間はもちろん、政府も支援方針を打ち出しています。
この記事がいま初めて公開されていたら、記事のカテゴリやジャンルにはこのキーワードが紐づいていたことでしょう。
だからこそ何度だって言っておきたい! 「FP3級」の肩書きが対外的に評価される可能性は低いです。FPは国家資格ですが、民間資格なども含めると「〇〇診断士」「〇〇アドバイザー」「〇〇コーディネーター」などの肩書きはやまほどあり、そのほとんどがFP3級と同様に肩書きとしての力を持ちません。
新たに知識を得ること、学び直すことには価値があります。しかし、「資格」「スキル」を自分のプロフィール欄に増やしていくことに、大きな意味はありません。プロフィール文にこうしたキーワードを並べれば人生の不安が減るように感じている人がいるとしたら、それは大きな間違いだと言いたいですし、本記事がそのように解釈されることを避けたい思いがあります。
大事なのは、自分に関して解決したい「何か」があること。その「何か」を解決するために、必要なステップを把握すること。資格や講座やスクールはそのステップを登る階段であることを忘れないでほしいと思います。不安が空回っているとき、心が弱っているときは、目に見える肩書きに飛びつきがちです。そんな気持ちを狙っているビジネスは世の中にいくらでもありますから、ぜひとも自衛を忘れずに。
さて、ここまで読んで「FP3級勉強してみようかな」と思った方、3月中旬から5月の試験の受付がスタートします。ナイスなタイミングですね。ややこしいのですが、FP試験は「金融財政事情研究会(きんざい)」と「日本FP協会」の2団体が同日に試験を行っています。とはいえ、どちらの団体でも試験内容の方向性と得られる資格と受験料は同じなので、なんとなく好きな方で受けてもらって大丈夫です。ここいらでちょっと気合を入れて、人生でお金について悩む時間の総量を減らしてみてください!