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「温泉旅館の主役はお客様です」

 売店の安定した売り上げに加え、リピーター率80%と経営も好調。

「一番大切にしているのはお客様との相思相愛です」と安倍さんは言うが、誰だって相思相愛な人間関係を築きたい。

 いったい、どうやって?

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「出会った方との会話を覚えるようにしていますし、贈り物を選ぶ時は、その方の趣味嗜好からふさわしい物をと、心がけています。『覚えていてくれたんだ……』と感じてもらえるように。何よりも後からでも余韻を感じられる物選びをしています」

 とは言え、好みがわからない相手に贈る場合にはどうするか。

「迷った時は白を選びます。お花を贈る時も、白のグラデーションに緑を添えるなど、白をベースにします」

安倍裕貴さん

 安倍さんにとって「白」は馴染みの色。

「温泉旅館の主役はお客様です。引き立てる意味で白を着ます」

 そうしたもてなす相手にも、やはり「白」を贈る理由とは?

「どんな方にも受け入れられやすい、使いやすい色だからです。着物の時も『困ったら白』を心がけています。帯揚げや帯留めなどの小物は白が多いんです」

「白」と言えば、清潔感を抱かせる医療関係者の制服の色、祈りをささげる鎮魂の花火「白菊」の色。無垢で高貴な印象もある。

「同じ『白』でも100の色合いがあると聞きました。真っ白から生成り、アイボリーなど。素材も木綿や麻、和紙など多彩ですので、その方らしさをイメージします。これからは白いレースのハンカチや白い扇子、白いパラソルを選びます。必ず一言の文(ふみ)を添えます。また会いたい人になることが嬉しいからです」