時代は変われど記憶は褪せず、けれども形あるものは消耗していく。旧車の魅力に取り憑かれ、経年劣化すら愛してしまったオーナー達の熱意に迫る!
今回は、旧車イベント「ノスタルジック2デイズ」出展者のうち、都内でデザイン関係の企業に勤める後藤和樹さんにインタビュー。
ジウジアーロデザインの魔力に魅入られて
幼い頃から車が好きで、高校生くらいの頃には友達と「将来何に乗ろうかなぁ」といつも話していました。ただ、昔からこういう車が好きだったわけではなく、たとえばインプレッサとか、わかりやすくカッコいい車に乗るものだと思っていましたね。
好みが変わったのは、デザインの専門学校に進んでからだと思います。デザインを学ぶなかで、おのずと車もそういう視点から見るようになって。気づけばジウジアーロがデザインしたこのピアッツァに惹かれ、22歳のときに思い切って購入したんです。価格は170万円ほどでしたが、やっぱりローンを組むのには勇気がいりましたね。
さすがにこれを買ったときには、家族は「え、これ動くの?」「こんなのにローン組んだの?」といった反応で。でも、ぼくが昔から車が好きなことは知っているので、すぐに「まぁそうだよね、頑張って維持してね」と受け入れていましたね。
自分としても、「古い車だから大変だろう」と覚悟していたんですけど、いざ乗ってみると意外と大丈夫でしたね。今のところは大きなトラブルもないですし、さすがに最近の車とのギャップは感じますが、むしろ自分はエンジンをかけるのにキーを捻る所作がないと落ち着かないというか……。
この車一台で買い物からキャンプまで済ませていますし、特段不便を感じることはないですよ。幸い、デートで彼女から文句を言われる、みたいなこともありませんね。
ただ、不便がないとは言っても、生活費はかなりカツカツで……。今は25歳で、東京でデザイン関係の仕事をしているのですが、23区内で家と駐車場を借りるだけでも大変で。それに加えて車のローンに維持費、奨学金の返済もありますから、お昼はもちろん毎日お弁当持参ですね。
家を探すときも、まずエリアだけ絞って、駐車場つきの物件を安い順に探していって。物件を決めるときにも、色々と値下げ交渉をしてみたり。でも、そういう節約生活も不思議と楽しいですけどね。
今ではこの車から降りることを考えられなくなっているので、今後家族ができたとしても、ずっと維持していきたいですね。理想を言えば、子どもも車好きに育ってくれて、一緒に楽しめたら最高なんですけどね。
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