時代は変われど記憶は褪せず、けれども形あるものは消耗していく。旧車の魅力に取り憑かれ、経年劣化すら愛してしまったオーナー達の熱意に迫る!

 今回は、旧車イベント「ノスタルジック2デイズ」出展者のうち、1967年式のセドリックに乗る岡和希さんにインタビュー。

1967年式の2代目セドリックを所有する岡和希さん

弟の「知らなかった姿」に憧れて

 もともと、自分は車にまったく興味がなかったんです。昔から父が旧車好きで、その影響で弟も旧車に乗るようになったのですが、自分はサッパリで。二人が家のガレージで作業していても、「うるさくてゲームの音聞えねぇよ」くらいのテンションだったんですよ。

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 18歳で免許だけは取ったものの、そこからは「移動は別に電車でいいじゃん」と、7年くらいペーパーの状態でした。それが変わったのは、弟が出展するイベントにたまたま行ったことがきっかけでしたね。

当時の欧州車を彷彿させるデザインが特徴だ

 弟は終始、会場で色んな知り合いと親しげに話していて、しかもイベントの賞まで取ってしまったんですよ。喝采を浴びる弟の姿を見て、「旧車ってすげぇんだな、世の中にこんな世界があるのか」と、一気に興味を持つようになって。

免許を取得してから初めてマニュアルを運転した

 いきなり旧車はハードルが高いので、手始めに日産のパオを買ったんですね。ペーパー期間が長かったのでオートマを購入したのですが、そのうちすぐにマニュアルに乗りたいと思うようになってしまって……。

 あらためて車を探すときには、人と被らないことを一番に考えました。価格面で折り合いをつけるのが難しかったですが、ヤフオクでこの車を120万円で見つけて。実際に見に行き、状態もいいので勢いのまま決めてしまいましたね。

ピニンファリーナによるデザインは個性的なボディラインを描く

 家族がみんな旧車趣味になりましたが、母は昔から何に対しても寛容な人なので、「駐車場も余ってるし、いいんじゃない」くらいのノリでしたね。父と弟はやっぱり嬉しそうで、「家族揃ったね、みんなでイベントも出てみたいね」なんて言っていました。

 実際に、去年はあるイベントに兄弟で出展して、会場まではそれぞれ父と母を乗せていって。今までにない経験でしたが、この歳になっても家族の思い出が増えていくのはいいことなのかなって思います。

旧車趣味に目覚めたことで、新しいつながりが生まれている

 古い車ですけど、毎日同じ道を走るだけでも、その時々で調子が変わったりして楽しいんですよ。あとは、知らない人から「若いのにすごいね」みたいに声を掛けられることも多いですね。信号待ちで隣の車がわざわざ窓を開けて、「俺も昔乗ってたんだよ!」とか。そういうコミュニケーションも、旧車を維持する魅力ですね。
 

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