1ページ目から読む
3/3ページ目

気持ちが切り替わるまではチームにいれなくてもいい

 メジャーリーグのピッチャーには、怒ってひと暴れして切り替える選手が多い。周囲も真剣にやっているからこそ悔しさに襲われ、それを解消するために暴れていることを理解している。だからやりたいようにやらせているのだ。

 しかし、日本のプロ野球はメジャーリーグの感覚とは違う。どんな理由があろうと暴れている選手がいるとベンチの雰囲気が悪くなる。場合によっては、監督が自分の起用法に腹を立てていると誤解し、さらに雰囲気が悪くなることもある。

©文藝春秋

 自分の失敗を人のせいにしたり、監督の采配に怒って暴れている選手もいないわけではない。だが、ほとんどのケースは自分のふがいなさに対して怒っている。それらをすべてひっくるめて、ひと暴れして切り替えることですべてが終わるのであれば、ウジウジいつまでも考え込んだり、腹を立てていたり、周囲をマイナスのオーラに引き込んだりするよりも、よっぽど健全だと思う。

ADVERTISEMENT

 そういう意味でも、僕はいつも選手たちに「ノックアウトされても、ベンチでは偉そうにしとけよ」と言っている。それができないのであれば、ベンチに戻って来ないほうがいい。ダッグアウト裏で暴れて発散させ、落ち着いたら戻ってくればいい。

©文藝春秋

負のオーラをまき散らすのはチームプレーではない

 ただ、この考え方はピッチャー特有かもしれない。野手のスタンスは「おまえが打たれた試合を、野手がみんなで一生懸命追いつこうと頑張っているのに、打たれた本人が応援しないとはどういうことだ」となる。

 その考え方もわかるが、それを言うならみんなが頑張っているところに、いつまでも切り替えられずに落ち込んでいる選手がいても、追い上げムードに水を差すだけではないか。どこまでいっても、日本人はチームプレーを重視する。落ち込んでいる選手をベンチに置いておくのは、何の役にも立たないチームプレーだ。チームプレーを言うなら、気持ちが切り替わるまでベンチに入らず、スッキリとした気分で次の試合に臨み、チームの勝利に貢献することのほうが大事だと思う。

 強制的にチームにいさせることで、負のオーラをまき散らすのは、僕はチームプレーではないと考える。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。