日本とは違うシンガポールの保育園事情
――日本とシンガポールの保育園、大きな違いはありますか?
鈴木 朝7時から夜7時まで預けられて、朝ごはんも保育園で食べさせてくれるシステムがあるのですごいな、と思いますね。あと、日本だとおむつの1枚1枚まで名前を書かないといけない園は少なくないようですが、シンガポールの保育園では持ち物に名前の記入はいりません。保育士の配置が子ども3人につき先生1人と決まっていて持ち物の管理も徹底されているので、紛失や他の子の持ち物が紛れ込んでいた、みたいなことも一度もありません。
――シンガポールでは中国語と英語が使われていますよね。保育園ではどちらの言語を使うのでしょうか?
鈴木 保育園では英語と中国語で子どもに話しかけているようです。先生にオーダーができるので、うちの子には英語で話しかけてね、とお願いしています。
――では1歳のお子さんは日中、基本的に英語に触れているわけですね。
鈴木 それもあって今、子どもは英語の方が出るようになっているので、逆に日本語をどう教えようかと悩んでいます。学校で英語に触れているお子さんは、両親が日本人でも第一言語が英語になるというケースも聞いたことがあります。
ただ、全般的に働くお母さんをサポートする環境が整っているなと感じるので、子育てはすごくしやすいです。
――前回、ナニー(乳幼児教育の専門家として家庭訪問型の保育サービスを提供する人)をお願いしている家庭が多いというお話もありましたが、社会全体で子育てする雰囲気があるといいますか。
鈴木 日本にいると、バスとか電車でベビーカーを引いてると周りの目が気になって、「すいません」のスタンスを取ってしまうことってあると思うんですが、シンガポールでは子連れで公共交通機関に乗っていても周りの目が暖かいですし、いい意味で“人目”が気にならなくなりました。移民の国なので、まず人と違うことが普通なんですよね。
宗教や文化の違いもあって、「人と違うことが当たり前」という共通のコンセンサスがあるので、「あの人はあの人、自分は自分」と考えられるんです。
――身近な方も、いろんなバックグラウンドを持つ方が多いですか。
鈴木 たとえば建設現場で働く方やナニーさんの多くはインドネシアやフィリピンといった外国から出稼ぎに来ている方が多いです。お友だちは“産褥ナニー”をお願いして、産後1ヶ月間住み込みで掃除や料理といった身の回りのお世話をしてもらっていました。
「代わりにミルクをあげておくから、お母さんは寝てね」みたいなお母さんにゆっくり過ごしてもらえるサービスで、1ヶ月10万円ほどと聞きました。日本に比べるとかなり頼みやすい金額ですよね。