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 しかし、彼女の主戦場となったのは、むしろバラエティだった。そこには、先述のとおり歌番組がなくなり、アイドルの活躍する場が減っていったという時代背景もある。一方で、バラエティ番組では松本明子、森口博子、井森美幸、山瀬まみなどバラドルと呼ばれるアイドルたちが活躍を始めていたころだった。島崎もまた初めてのバラエティの仕事で素の自分を出したところ、そのまま受け止めてもらえたので楽しくなり、以後、この路線で才能を開花させ、仕事も増えていく。

豪快な笑い声がトレードマーク

 雑誌の記事で「ハッハッハッ」と再現されるほど、豪快な笑いは彼女のトレードマークのようになっている。バラエティ番組で共演経験のあるコラムニストの山田美保子には「島崎和歌子は最初に笑い出して最後まで笑っている」と書いてもらったことがあり、本人との対談で感謝を述べた(『女性セブン』2022年3月31日号)。

©文藝春秋

 豪快な笑いは、高知の女性の特徴らしい。島崎は2005年から高知県観光特使を務めるが、そのPRのなかで《お祭りで活躍するのも、おばちゃんたちが圧倒的。子供の頃は、おばちゃんたちの「ギャハハハハ!」という甲高い笑い声がイヤだったんですけど、今、私がそうなっています(笑)》と語っていた(『週刊現代』2008年7月12日号)。

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 高知の女性はハチキンと呼ばれ、男勝りで肝っ玉が大きいとされる。ハチキンは酒も強く、島崎いわく《毎年、高知の祭りで日本酒を一気に飲み干す競争がありますが、女性のほうが早く飲み干して、いくら飲んでもけろっとしている》とか(『週刊朝日』2010年5月21日号)。

芸能界きっての「酒豪」として知られたが…

 島崎自身、芸能界では昔から酒豪として知られる。かつては『感謝祭』の若いディレクターを飲みに誘って、愚痴を聞いてあげることもあったという。ただ、2019年のインタビューでは、《お酒は、相変わらず大好きですよ。でも、外に飲みに行くのは週に1回もない。美しさって、やっぱり健康でいることだと思って、毎日5千歩を目指して歩いています》と語っているように(『女性自身』2019年10月8日号)、近年は美容と健康のため飲み歩くのは控えているようだ。

『Windy Kiss 島崎和歌子写真集』(1991年、TIS)

 これはコロナ禍前の発言だから、いまでは大人数で飲む機会がそもそもなくなっているだろう。それに加えて、コンプライアンスなどの問題で、年齢や立場上、若い子を飲みに誘うのも難しくなっている。

 それでも島崎を慕う若手、とくに芸人は少なくないという。本人は「そもそも私は芸人じゃない」と言いたいようだが、これまで西川きよしや島田紳助、明石家さんま、あるいは志村けんと、お笑い界のレジェンドたちと数多く仕事をしてきた彼女だけに、若手芸人が色々とアドバイスを求めたくなるのも無理はない。彼女自身、バラエティに出始めたころ、テレビ局の楽屋(当時は大部屋が多かったという)で一緒になった今いくよ・くるよ、ハイヒール・モモコなど女性芸人から、衣装へのこだわりなど「芸事とは何か」について教えてもらっていたという(『週刊大衆』前掲号)。