街路のつくりもシンプルで、基本的には東西南北に揃った碁盤の目。ところどころに対角線の道路も通っているが、そうした整然とした住宅地という中央林間駅周辺の街並みは、小田急線を超えた西側に出ても変わらない。
ただ、街路は整然としていても、その合間に建っている住宅のタイプはさまざまだ。古めかしい戸建て住宅やアパート、ところどころに巨大な新しめのマンション、ちょっと年季の入ったマンションもあるし、比較的歴史の浅そうな戸建て住宅が集まるゾーンもある。
いかにも“私鉄沿線”といった感じの西側・小田急線沿い
駅の西側の小田急線沿いには昔ながらの団地とおぼしき建物群もある。商業施設はほとんど駅の周辺に集約されていて、東急の地下ホームの直上には東急系の商業施設、小田急線西側には個人経営の小さな居酒屋の類いも集まっている。
駅前広場があるのは、東急側だけではない。小田急線の中央林間駅北西側、踏切の脇にもほとんどが駐輪場に覆われてしまっている小さな駅前広場が設けられている。
その脇には、なぜか駅舎以上のインパクトを持って堂々としているモスバーガー。昭和の香りが濃厚な立呑み屋や喫茶店も踏切脇にあって、東急側の立派な商業ビルと比べると、小田急側はどことなく“庶民的”といいたくなる。駅舎のすぐ脇に踏切があるところなんかも、いかにも“私鉄沿線”といった感じで味わい深い。
ツートップ・小田急と東急が接続している「中央林間」
いずれも東京から神奈川に向かって走る大手私鉄である東急さんと小田急さん。じつは、この2社の路線が接続しているのは中央林間駅だけだ。まさにコンビ、タッグを組んでこの駅を形作っているといっていい。
お客の数は、1日平均の乗降人員でどちらも8万人台(2021年度)。それほど差はないものの、ほんの少しだけ東急のほうが多い。コロナ禍で減少する前は、東急が10万人を超え、小田急がわずかに10万人を下回るという感じでずっと推移してきた。
このデータに加えて、東急駅前の商業ビルの圧倒的な存在感。ついでに東京都心からの“終着駅”としてのバツグンの知名度、こういったもろもろを合わせて考えれば、中央林間駅の主役は東急さんだろうと思い込んでしまう。しかし、歴史を辿ればそれはまったくの間違いである。