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「暗号とか脅迫文みたいで怖い」

 おじさんが、つい使ってしまいがちな「青ざめた顔」や「汗」の絵文字は、ネット黎明期のチャット文化の名残りではないか。また文章をセンテンスごとに送らず、長文を一発送信してしまうのは、ガラケーの頃のクセが抜けないのでは……などと分析されている。しかし、これは単純に文章力のなさと、自信のなさから来ているのではないか。要件や気持ちをストレートに表現しないので、どうしても文章が長くなってしまうのだ。

 その伝えたい内容も「自分語り」や「質問」に見せかけた、回りくどい「口説き」でしかない。邪な考えがあるのに、それを言ったらセクハラになるという意識はあるのだろうが、結局は同じこと。

 さらに、最初に時候の挨拶からはじまり、「よろしくお願いします」で締めてしまうところに、ビジネスメールのマナーから逃れられない様子も見受けられる。

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「内容以前に、読みにくいですよね。句読点が多かったりカタカナが混ざっているのは、暗号とか脅迫文みたいで怖いです」(中山さん)

 今回の調査における「おじさん」とは、昭和40年代後半から50年代に生まれた「団塊ジュニア世代」。現在、彼らは40歳から50歳前後だとすると、80年代の「昭和軽薄体」の洗礼を受けたライターたちが活躍していた、90年代の雑誌記事の影響といえるかもしれない。

実は「文体」を否定する声は少ない

「確かに文体は独特の感じで読みにくいですが、そんなものと思って気にしてません。それよりも妙にかまって欲しいというか、ネットリとした内容が不快ですね」(24歳女性、飲食業)

 今回、おじさんからLINEを頻繁に受け取っていそうなキャバクラやコンカフェに勤務する女性たちに話を伺ったが、いわゆる「おじさん構文」そのものを否定する人は意外にも少なかった。それよりも、夜中に何度もメッセージを送ってきたり、一方的な好意を告げたり、高圧的な態度で迫ってくるなどのマナーを逸脱したLINEに対する批判が多かった。

「夜中にいきなり長文LINEが届いたので、そっと長押し(※)してみると、なんの前触れもなく『好きだ』とか告白してきたりする。どういうつもりなんだろうって思う」(28歳女性、会社員)

※……「長押し」とは、LINEのトークリスト画面を長押し、「既読」を付けずにメッセージを読むテクニック。iPhoneのみでAndroidでは使えないので注意。

「高圧的に『俺の女になれ』とか送ってくるけど、いま寂しいだけなのがバレバレでキモい」(24歳女性、飲食業)