関西大アイススケート部元監督でフィギュアスケート元日本代表の織田信成さん(35)と同部元コーチの濱田美栄さん(63)が、互いに損害賠償を求めた裁判の判決が3月2日、大阪地裁であった。大阪地裁は「濱田元コーチによるモラルハラスメントがあった」とする織田さんの訴えを棄却し、濱田元コーチに220万円を支払うよう命じた。
「主張を裁判所に認めていただいてよかった」と安堵のコメントを発表した濱田元コーチ。織田さんの告発で始まった二人のトラブルはどのようなものだったのか。「週刊文春」の直撃に濱田氏が思いの丈を語った当時の記事を再公開する。(初出:「週刊文春」2019年10月10日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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「(モラハラの容疑者が)私の名前になってんの!? もうショックやわ。そう言ってる人いるんや。全く話し合う場もなかったから、行き違いがあったんかな……」
小誌の取材にあっけらかんとした口調で語るのは、宮原知子や紀平梨花を育てたフィギュアスケートの名コーチ濱田美栄氏だ。
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フィギュア界を揺がせたモラハラ問題。発端は9月29日、元五輪代表の織田信成がアップした〈関西大学アイススケート部監督辞任について〉と題するブログだった。
〈リンク内で私に対して嫌がらせやモラハラ行為があり、その影響で今年春頃から体調を崩すようになり、辞任するまでの3ヶ月間リンクに行く事が出来なくなった〉
織田は、2017年4月に母校・関西大学のアイススケート部監督に就任。しかし2年半後の今年9月9日付で突如、退任した。その理由について、「多忙のため」と報じられたが、織田は〈多忙を理由に監督を辞任したわけではなく〉と主張したのだ。
織田が主張する「モラハラ」とは何なのか。事情を知る関大関係者が明かす。
「就任1年後くらいから織田さんはスケート部の体質に疑問を持ち始めた。特に問題視したのが、スケート部所属の学生の学業がおろそかになっていることです。たとえばサッカー部は半年で15単位以上取得できない学生は試合出場が制限されるなど、文武両道を掲げる関大では成績の基準を設けている部活があります。織田さんは、スケート部も成績の基準を設けた方がいいと、今春から部則を変えようと動いていた。しかし、それが関大スケート部の女帝こと、濱田コーチの逆鱗に触れた」