1ページ目から読む
3/5ページ目

メジャーリーガーは今まで見たことがないところまで飛ばす

上田 あの年、落合(博満)さんが、「いやいやちゃんとした打ち方をしていれば関係ないんだよ」みたいなことをおっしゃっていましたけど。

古田 いや、実際に打てば、明らかに違います。以前、日米野球が行われていたときは、アメリカのボールを使っていましたが、それも全然飛びませんでした。試合前のフリーバッティングで、“よっしゃ、これいったやろ”という当たりでも、やっとフェンスを越えるくらいでした。

 当時の通常の試合では、飛ぶボールが使われていたので、たとえば巨人(読売巨人軍)の松井(秀喜)君はフリーバッティングで東京ドームの看板に当てたりしていましたが、アメリカのボールだとやっとスタンドに入るくらいでした。それで、日本もアメリカの飛ばないボールに近づけようとかいって、試しに使ってみたら、全然点が入らなくなったので、すぐやめて……。

ADVERTISEMENT

上田 そうですよねー。あの年はいまいち面白くなかったですもんね。

古田 メジャーリーガーのフリーバッティングを見たらわかると思いますが、今までに見たことがないようなところまで飛ばします。きっと誰もが、“これは勝ち目がないよね”と思うはずです。前回、ロサンゼルスで開催された2017年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、当時マーリンズに在籍していた(ジャンカルロ)スタントンが出場していて、比較的三振もしますが、当たると、ドジャー・スタジアムのバックスクリーンの上のほうまで飛んでいました。

上田 西武にいた(アレックス)カブレラとか、近鉄(大阪近鉄バファローズ)の(ラルフ)ブライアントとか、バンバン飛ばしていましたけど、彼らよりも飛ばす感じですか?

古田 彼らも練習では、日本のボールだったのでめちゃくちゃ飛んでいました。カブレラはベネズエラ出身で、ヤクルトにいた(ロベルト)ペタジーニや、(アレックス)ラミレスもベネズエラ出身です。彼らはメジャーでは通用しないから日本でプレーしたと思いますが、もし、彼らがベネズエラ代表でWBCに出てきたら、おそらく日本は勝てないでしょう。日本チームの全員が大谷(翔平)君だったら違いますが。

上田 そういうわけにはいかないですね(笑)。

©文藝春秋

終盤の村上選手の打率が下がってしまった理由

上田 村上選手、ペナントレースの最後の2週間ぐらいあんまり打てなくて、フォアボールも多くなっていました。2021年の大谷選手もそうでしたが、ボール球に手を出して少しバッティングを崩したんですかね。

古田 フォアボールというか、打ちたい気持ちが強いであろうと思い、相手投手はボール気味に投げてくる。開幕してからの1カ月で調子の上がらないケースとよく似ています。