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長年培われた、自分の将棋の根底にある“棋風”

 色々な戦型を指しながら、やや振り飛車を選びがちなのは私と一緒だが、香川ちゃんは「軽く捌いていくタイプ」で、私は「押しつぶしていくタイプ」という棋風の違いがある。前者は攻めることが多く、後者は相手の攻めを受け止めながら進んでいくといった感じだろうか。

 個人的には超早指しは攻めている方が勝ちやすいと思うので、香川ちゃんはフィッシャー適性がかなり高い女流棋士の1人になる。前回の優勝チームのメンバーで、当たりたくないな、と思わせる強さを発揮していた。

 ちなみに私はというと、棋風的にはおそらく余り適性は高くないけれど、こればっかりは変えられない。棋風とは長年培われた、自分の将棋の根底にあるものだ。

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 沙恵ちゃんと香川ちゃんは同い年で、共に戦ってきた道のりがある。そこに混じるという立場的な難しさはどうしても発生する。小さな世代間の一区切りのイメージが、大体5歳差くらいだろう。「上手く話せるかな?」なんて、少しドキドキする。

 しかし、チーム3人で1度練習会をした時に、それも最小限で済んだように感じた。付き合いの長さや、対局で将棋を指し、感想戦で話していることからなのか。なんとなく漠然としているけど、確かな安心感が、そこにはあった。

 前回のチーム西山が、何が出てくるか分からないビックリ箱のようなチームだとしたら、今回のチーム伊藤は、自然体でいられる、日常のようなチームだと思う。

 リーダーによる色なのか、メンバーによる色なのか。どちらも違った味わいがあるのがおもしろい。

トーナメント頑張ります!

普段の対局とはまったく異なる“超早指し”

 トーナメントに出場することが決まってから、前回同様、夫とABEMAトーナメントの持ち時間で練習をした。子どもたちが寝てから、各自でやるべきことをする。午後11時30分から3番勝負をするのが恒例である。

 5分の持ち時間で開始し、1手指す毎に5秒が加算されるという、普段の対局とはまったく異なる超早指しでは、「慣れておく」のが、やはり大事だ。

 持ち時間が数時間ある対局の時以外の、研究会やVSをしていない私にとって、この超早指しはとてつもなく怖い。反射神経を研ぎ澄まさないと、パッと手が動かなくなってしまう。読みのスピードも正確さも当然必要になる。とにかく実戦を指すしかない。野性の勘を取り戻せ。

 調整期間が限られていたため、何度もみんなで集まるのではなく、それぞれ個人で練習して本番を迎えようということになった。私が戦えれば、このチームは強いという確信がある。チームのために頑張ろう。

 個人競技である将棋において、チーム戦でしか味わえないあの熱気を、今回も味わえるのだ。

「女流ABEMAトーナメント2023」のご視聴と、チーム伊藤の応援をよろしくお願いします!

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