大ヒット「恋だろ」誕生秘話
——若者に「恋をしない風潮」がある中で、「恋だろ」は力強い“恋愛応援歌”だと言われます。
橋口 元々ドラマの挿入歌として書いたんですよ。15曲くらい書いた中で、ポンと出てきたのが「恋だろ」でした。だから、正直に言うと、あの曲が出来た時に自分がどんなマインドだったかもう忘れちゃったんですよ(笑)。ただ、「ロミオとジュリエット」という曲のテーマはもらっていて、「恋愛に対して障壁があるけど、お互いの気持ちで結びついて愛を貫く」みたいな視点は常に持っていました。なので、「恋の障壁はいろいろあるけど、そういうの全部乗り越えるのが恋だろ!」と自分に言い聞かせるイメージで書いたということは言えますね。
——嬉しい反響はありましたか。
橋口 周囲の目に傷ついたりしながらも自分たちの恋愛を貫き通した方から「勇気をもらいました」というコメントをもらった時は嬉しかったですね。昔と比べれば、現代は例えば国際結婚、年の差婚、LGBTQの方の結婚には理解があるとは思います。しかし、それでも風当たりが強いところはまだある。そんな方々に「自分の気持ちを信じられるようになりました」と言ってもらえると、歌手冥利に尽きますね。
楽曲における「分かりやすさ」「シンプル」
——誰にでも分かる言葉で心にストレートに入り込んでくる歌詞が印象的でした。詞を書く時に意識していることは?
橋口 「分かりやすさ」は大事にしています。僕は比喩をあまり使わないんですよ。「好きだ。愛している」という気持ちを表す時、「好き」という言葉を使わずにいかに表現するか、それが詩の美しさだ——なんてよく言われるんですが、僕は相手に伝わるんだったら「好き」も「愛してる」も平気で使います。フレーズに制限はかけたくないんですよね。むしろ、詩的な表現かどうかより、テーマの設定や登場人物のキャラクターをしっかり考えて歌詞を書いています。
——wacciの曲は年々、歌詞がシンプルになっている気がします。