橋口 実は僕自身は「誰かの背中を押したい」とは思っていないんですよね。元々、人を応援できるような人間じゃないし……「頑張れって言われても僕は頑張ってるよ!」って思っちゃうタイプですし(笑)。「大丈夫」は、そういうタイプの人間である僕が、一生懸命誰かを応援している曲です。
「大丈夫」の歌詞は二人称。聞き手をすごく意識して書いた曲なんです。メジャーデビューすると、お茶の間=老若男女に聞かれる曲を届けるという使命の下、こういう曲(誰かを応援する曲)を1つ書けるようにならないといけない。wacciというバンドの「1つの武器」として、こういう曲を書けるようにならないと、という気持ちで結構無理に書いた曲ではあるんです。
でも、「大丈夫」をリリースしてみて、結果として、聴いてくれた人たちから「励まされた」「背中を押してもらえた」などと色んなリアクションをもらいました。「こういう応援歌を自分たちの強みにしてこれからもやっていこう」と決意したことは間違いじゃないって思えましたし、これからもその使命からは逃げずにやっていこうと思っています。
——バンドを結成した時は“応援歌”は作っていなかったのですか?
橋口 最初はもっと小さなことを歌っていました。極端な例で言うと、食卓にふたり向かい合って、ご飯美味しいね、みたいな。日々のシチュエーションを1個切り取って、その幸せを歌ったり、失恋を歌ったり。何気ない、誰かが見落としそうな幸せをほっこり歌うアコースティックバンドみたいな。個人的には、固有名詞が出てくる“狭い歌”の方が好きなんですけどね(笑)。
社会人を経験して
——橋口さんはミュージシャン1本に絞る前は2回、一般の企業に就職されたことがあるそうですね。社会人経験があるから、社会で戦う人たちにwacciの“応援歌”は響くのかもしれません。