橋口 まあ結果論ですけど、そういうことにしてます(笑)。自分の経歴はどんなことでも無駄ではないとみんな思うべきだ、と僕は考えています。
この間も、サラリーマン時代の同期と飲んでいたんですけど、昔話をしていました。本当に短い間でしたけど、新卒で入った会社や、その後に転職した会社での経験は心に残っています。頑張っても仕事ができなかった自分の不甲斐なさ、帰り道に電車に揺られたこと、守ってくれた上司の存在。でも実はその上司も陰で誰かに叱られていたり。ものすごく小さな経験かもしれませんけど、wacciで活動する今の自分に生きているところはあるのかな、と。
ドラマの挿入歌「恋だろ」は「15曲書いて14曲はボツ」
——5月2日からは大阪、福岡、東京など全国8ヶ所を回るライブツアー「wacci Live Tour 2023」が始まります。音楽をサブスクですぐにどこでも聴けてしまう時代、リアルなライブの強みは何でしょうか。
橋口 「恋だろ」以外の曲はどうなんだろう、バンドのメンバーってどんな人たちなんだろう、ということを知ってもらえる良い機会だと思っています。ライブでは好きになってくれた1曲以外の魅力を伝えていきたいな、と。wacciのライブって、例えばおじいちゃんと孫で来てくれる方もいるんですね。音楽だけでなく、視覚的にも楽しめるような工夫をスタッフと一緒にしていくつもりです。
——最後に2023年の目標を教えてください。
橋口 デビューして10年、身に沁みたのは「目の前の一歩を頑張ることの大切さ」なんですよね。「恋だろ」だって、ドラマの挿入歌のお話をいただいて、15曲書いて14曲はボツになって、その中の1曲を選んでもらい、良かったから多くの人に広まった。今年も妥協せずに、目の前のひとつひとつに向き合っていきたいです。だから、2024年の同じこの時期も、今と同じ悩みを抱いていたいです。「去年1年間は良かったから、今年も頑張りたい」とか言えていたらいいな(笑)。
撮影 榎本麻美
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