「風俗嬢もチップもらってナマでやっちゃうんだから…」

 日本人と外国人の風俗利用を比べてわかった「日本で梅毒が流行る理由」とは? ルポライターの國友公司氏の新刊『ルポ歌舞伎町』より一部抜粋してお届けする。(全3回の3回目/#1#2を読む)

なぜ日本で「梅毒」が大流行するのか…? 写真はイメージです ©getty

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海外出稼ぎ案件が「表の仕事」になったワケ

 まずは中国のゼロコロナ政策である。富裕層の中国人観光客が日本に戻っていれば、再び中国人案件が活発になったはずだが、女目当てのエロ中国人などひとりもやってこないため、案件が復活しなかったのだ。

 2つ目は「風俗嬢たちのクソみたいな承認欲求のおかげです」とアユが話す。

「風俗嬢たちは『売り上げをのばすため』とかいいながらTwitterをやっているんですが、ほとんどが承認欲求のためにやっているだけです。『整形なんてする必要ないよ~』とか『そんなに食べてるのになんで痩せてるの?』とかリプで言われながら、客に連れて行かれた高級レストランの写真をアップしたいだけなんです。そのなかで海外出稼ぎに行った子が海外のホテル暮らしの様子をいい感じにアップしたり、『こんなに稼げた』って札束をアップしたりしはじめたら、一気に希望者が増えたというかんじです」

 アユに教えられた海外出稼ぎ風俗嬢のTwitterアカウントを見てみると、プロフィール文には8カ国の国旗の絵文字が並んでいた。いままで出稼ぎで訪れた国を誇示しているのだ。シンガポール、香港、マカオ、台湾、ドバイ、ニューヨーク、ロサンゼルス、シドニーあたりがメジャーな出稼ぎ先だという。

海外出稼ぎの斡旋しているスカウトのTwitterアカウント(画像:Twitterより)

日本の風俗嬢たちがこぞって海外へ出稼ぎにいった結果…

 そうして稼げるという噂がTwitter上で出回り、女の子が女の子を紹介する形で風俗嬢の間で広まっていった。すると、すぐさまスカウトたちが介入するようになったのだが、これが3つ目の理由である。スカウトが海外出稼ぎ案件を扱うと国内よりも儲かるので、1人でも多くの風俗嬢を海外へ送り込もうと躍起になったのだ。

 コロナ禍以降、海外出稼ぎ案件を手がけているスカウトの男に聞いた。

「国内の場合、風俗店が売り上げから女の子への給料とスカウトへのバックを振り分けるんだけど、海外の場合は基本的に帰国後、スカウトから女の子に給料を渡すんだよね。店とスカウトの間にはだいたい2社くらい仲介業者が入っているから金抜かれるんだけど、つまり日本にいるスカウトも女の子に渡す前に金を抜けるんだ」