news zeroメインキャスター・有働由美子さんの人気連載「有働由美子のマイフェアパーソン」。俳優の大地真央さんと対談した、第51回を一部公開します。(「文藝春秋」2023年4月号より)

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主演舞台『おかしな二人』が3年ぶりに再演

 有働 今年4月、主演舞台『おかしな二人』が3年ぶりに再演されるそうですね。ニール・サイモンの傑作コメディ劇で1970年代のニューヨークが舞台です。大地さんが演じるのはテレビ局の敏腕プロデューサー・オリーブ。友達のフローレンス(花總まり)との“おかしな”共同生活が描かれています。3年前の公演を拝見しましたが、オリーブのアパートに、毎日、個性豊かな友達が集まりゲームやおしゃべりで盛り上がる。冒頭の女子会からして女子のリアルが詰まっていて、いきなり物語の世界に引き込まれました。

「おかしな二人」2020年公演より ©東宝演劇部

 大地 ぶっちゃけ話ですよね。

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 有働 笑いながらも登場人物の機微にホロッときたりして、特に女性はみんな見てほしい! 私はオリーブみたいな友達が1人欲しいと思いましたけど、大地さんにとってオリーブはどんな存在ですか。

 大地 出来るキャリアウーマンなのに、家に帰るとだらしない。その感じ、私にちょっと似てるところがあるかも。

 有働 えっ、オリーブみたいに部屋が荒れ放題とか⁉︎

 大地 さすがにオリーブほど床に色々落ちてはいないですけど(笑)。私も家では書類や本は積み上げちゃうし、あまり気にもしない。でも仕事のことになると、ものすごくこだわりがあって妥協したくなかったり、1日1ミリでもいいから上を目指して良い舞台にしたいという気持ちがありますね。

 有働 宝塚時代、衣装のわずかな丈の違いで見え方が変わることにこだわって「5ミリの大地」の異名を取っただけありますね。

 大地 (笑)。オリーブは家と外とのアンバランスさとか、行動の振り幅の広さが面白い人ですよね。フローレンスが夫に捨てられ困っていたら「うちに住めばいいじゃない」と言ってあげる頼もしさがある。一方で、オリーブもまた元夫と別れきれずについついお金を振り込んじゃう一面もあったりして。

大真面目に演じて笑わせる

 有働 実は私、元夫はいないですけど、元カレに振り込みを頼まれたことがあります(苦笑)。こういう人ってやっぱりいるんだな、しかもテレビ業界に! と勝手に共感しました。共感できないほうが幸せなんですけど……。

 大地 ええっ! で、有働さんは振り込んだんですか。

 有働 振り込んでしまいました。「絶対に返すから」と言われたけど返ってこないし。彼がその後どうしているのかもよくわからない(笑)。

 大地 そうでしたか。オリーブに成り代わって言えば、返されたら返されたで悲しいんですよね。絶縁の証拠ですからね。

 有働 実際、私も彼と自分に薄い関係を保てたら嬉しいみたいな思いはありました。

 大地 女心って不思議ですね。嫌だ嫌だと言いながら、突然、相手に関係を切られると、オリーブのセリフで言うなら「あ、終わった」とショックを受けてしまう。