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「別の女性に対する強制性交についても『無理矢理ではない』や『女の妄想だ』などと言って否認。薬などの影響下でどうしても信用度が低くなりがちな精神科の患者の弱みにつけ込む供述を続けていました」(前出の司法記者)

知人男性に電話をかけたら「元カレと話しているんだろう!」と激怒

 しかしこのような伊沢被告の主張は裁判所によって切り捨てられた。

 昨年2月26日のA子さんに対する暴行について、伊沢被告は法廷で「A子が中国語で電話をかけ始めたので、以前やっていた覚醒剤パーティをやるのではないかと思った。別れたいと考え『出て行ってくれ』と言ったがA子は突然左腕の上の方をアームカットし、深い新しい傷を見せてきた。面倒くさいと思って無視をしてヘッドホンを着けたところ、A子が出て行った」と暴行は存在しないと主張した。

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 しかし、文春オンラインの取材にA子さんが語った当日の状況は以下の内容だ。

 この日、A子さんは香港出身の知人男性に用事があり電話をかけていた。伊沢容疑者に会話を知られないために中国語で喋っていたという。すると伊沢容疑者が「元カレと話しているんだろう!」などと激怒し、もみ合いに発展した。

伊沢容疑者とA子さん

加害者と被害者で食い違う当日の状況

「縫ったばかりの左腕の傷をえぐられ、つねり器でつねられ、右フックを頬に受けて、足も蹴られました。携帯を取られそうになりましたが、伊沢先生に壊された前の携帯を新しくしたばかりだったので必死になって抵抗したんです。すると髪を引っ張られ、馬乗りになって首を締めてきました。『もうダメだ』と思って携帯から手を離すと、窓から投げ捨てられました」(取材時のA子さん発言)

 加害者と被害者でこのように全く食い違っていた当日の状況。他の事件については客観的な証拠がないのをいいことに言い逃れができたのかも知れないが、この日の暴行は、マンションの管理人や、A子さんを診察した医師の証言があったことから、裁判所は伊沢被告の主張を積極的に退けたことになる。