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「お母さんが50万あげるから今すぐ辞退しなさい」

――『ゴールドラッシュ』の時は19歳でしたが、芸能界に挑戦する最後の機会だったんですか?

千秋 短大の最後の年で内定を2つもらってる状態だったし、両親にはそもそも歌手になることを猛反対されてたから、勝手に応募しちゃったんです。

 最終選考の10人に残ってさすがにバレると思って白状したら、お母さんにすっごい怒られて。なんとか説得しようと「残り10人ってことは、10分の1の確率で賞金の100万円もらえるんだよ。こんな確率の高い宝くじないよ!」と言ったら、間髪入れず、「じゃあお母さんが50万あげるから今すぐ辞退しなさい」って。

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――そこまでしてでも出場を止めたかったんですね。

千秋 私も諦められないから「お母さんは50万で私の夢を買うのか!」って叫んで、大喧嘩してたらお父さんが帰ってきました。「50万で無理やり辞めさせて一生恨まれたらたまったもんじゃない。行って落ちたら納得するだろ」と言われて、やっと出られた最終選考だったんです。

 

――裏ではそんなドラマティックな展開が。ただ、志望だった歌手ではなく当初はバラエティのお仕事が多かった印象があります。

千秋 オーディションに合格した時から番組のプロデューサーや事務所の人、とにかく全員に「バラエティに向いてる」と言われました。私自身は硬派な歌手志望だったから「バラエティなんてできません」ってつっぱねてたんですけど、フジテレビの人から「芸能人は売れることより長くやることが大事。(『ゴールドラッシュ』の司会の)堺正章さんは歌もやるけど司会もやって何十年も活躍してる。あれが一番の成功例」って諭されて。

――説得力があります。

千秋 「バラエティで売れてから歌手をやっても遅くない」とダメ押しされて、最終的には「わかりました、まな板の上の鯉になります」という感じで方針は任せる形で事務所に入りました。

 

――デビュー直後から『ウゴウゴルーガ』に出演したり『ノンタンといっしょ』のノンタンの声優を担当するなど、順調なスタートを切っています。

千秋 自分の感覚としてはあまりそうは思ってなかったです。当時は給料制で、手取り13万5000円。短大卒の新入社員の給料が15万円くらいの時代で、親にも「お勤めしている人と同じお給料を稼がなきゃダメ」と言われてたので「ギリギリOK」くらいの気分でした。